新規顧客を開拓したいなら知っておきたい11個の営業アプローチ方法!

「営業にいはどんなアプローチ方法があるのか知りたい」と思っても、様々なやり方があるため、どれを選ぶべきか迷ってしまいがちです。ノウハウをネットや本で学んでやり方がわかっても、初期投資や人材の確保がネックとなる場合も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、営業のアプローチ方法にはどのようなものがあるのかについて網羅的に紹介した上で、それぞれ「すぐに実践するためにどのような方法があるのか」「どのようなメリットがあるのか」について解説します。

さらに番外編では、失注顧客や既存顧客向けのアプローチ方法についても解説しています。失注顧客から改めてリードを生み出したい方、既存顧客へのアップセルを実現したい方はぜひ参考にしていただけたらと思います。

ぜひ、自社に合ったやり方、あるいは初めてでもできそうな「自分にあった方法」を探し、行動に起こしてみて新規顧客の獲得を実現してください。

【監修者】 小沼 勢矢

【監修者】 小沼 勢矢

一般社団法人プロセールス協会 代表理事
中小企業サポートネットワーク「スモールサン」YOKOHAMAプロデューサー

脳科学の権威である石川大雅に師事し、40年間3万人以上の成功者の脳と向き合い確立して来た「実証的脳科学」を提供するプロ・アライブ社を承継。2代目経営者となり組織開発や人材教育の場数を踏み、8年で3,500人以上のクライアントに指導してきた実績を持つ。コロナ禍で営業に課題を抱えるクライアントが増加したことをきっかけに成約率80%を達成するための脳科学を基にしたセールスメソッドを確立。価値あるサービスを世の中に上手く届けられずに困っている事業者様を支援したいという想いから、一般社団法人プロセールス協会を設立。セミナー・コンサルティング・会員サービスなどの提供を行う。

新規顧客へのアプローチ方法は2種に分けられる

新規顧客を獲得するためのアプローチ方法は、大別すると2つに分けられます。

ひとつはプッシュ型。アウトバウンド営業とも言われ、企業が顧客へ直接はたらきかけるタイプの営業方法です。こちらから行動を起こすため自由に相手を選べるというメリットがありますが、数をこなさないと成約に結びつかないことも。

もう一つはプル型。インバウンド営業とも言われ、顧客側から自社への接触を誘導する営業手法です。顧客に興味を持たれないと案件が始まらないものの、逆に熱の高い顧客を獲得できるチャンスがあります。

それぞれの型で、どのようなアプローチ方法があるのかについては以下の表でまとめています。

プッシュ型(アウトバウンド型)プル型(インバウンド型)
テレアポ
メール(Eメール)・FAX
展示会
訪問
手紙・ダイレクトメール
SNS・ソーシャルメディアの活用
自社アカウントの運用
SNS広告の配信
プレスリリースの配信
ホームページ・ブログの運営
セミナー
YouTube

新規顧客に対する5つのプッシュ型アプローチ方法!

ここからは実際にどのようなアプローチの方法があるのか、について、メリットやデメリットを添えながらご紹介します。

まずは、以下プッシュ型に属する5つの営業アプローチ方法をご覧ください。

【1】テレアポ

電話営業ことテレアポは、企業側から潜在顧客に対して、電話を使い商材の紹介や勧誘を呼びかけるアプローチ方法。主にインサイドセールス部門でおこなわれます。フィールドセールス担当者が自らテレアポをおこなうこともあります。

テレアポとは「テレフォンアポインター」の略で、直接ものを売るというよりは営業プロセスの一部分であるという捉え方をされることが多いです。

課題を抱えていそうな顧客に対して、自社商材の資料を送付していいかどうかを伺ったり、商品紹介の担当者と面談してもらう機会(アポイント)を取り付けるといった役割です。

成功、失敗がすぐにわかり、次々に新しいリストへ……というように素早く業務が進められることが特徴。インサイドセールスとして社内で完結する業務のためコストが抑えられ、営業効率が良いです。

【2】メール(Eメール)・FAX

電子メールやFAXは文字情報で顧客に訴えかける営業手法です。特にメールは営業支援ツールなどを介して自動化できることもあるため、あらゆる営業手法の中でも最小限のコスト帯に分類できます。

いずれも相手企業の担当者には確実に到達します。ただ受け取る側も毎日何通ものメールを受け取っているため現代では営業手法として形骸化しており、100%返信が期待できるとは限りません。返信してくれた相手は、確度の高いリードとして電話営業やオンラインセールスへ発展する可能性があります。

メールならば開封率も判明するため「どのようなメルマガなら喜ばれるのか?」等、今後のマーケティング改善につなげることも可能。

【3】展示会

昨今では展示会をオンライン開催することもありますが、いわゆる大型展示場などで開催される展示会は、来場者を積極的に自社ブースへ引き込むプッシュ型と捉えることも、来場者のブース来訪を待つプル型と捉えることもできます。

いずれの場合も、顧客は自社への興味を持っていることになります。つまり何らかの課題を抱えており、自社商材に対して解決策を求めている可能性が高いといえます。展示会で得られた顧客は温度の高いリードとして今後の深い付き合いが期待できるでしょう。

【4】訪問

いわゆる「飛び込み営業」のように顧客をアポイント無しでいきなり訪問する営業手法は代表的なプッシュ型営業法です。

相手の都合などを気遣っていないため、断られる確率は圧倒的に高いです。しかしもし受け入れられれば、いきなり相手の懐に入って、セールスパーソンの持つノウハウを発揮する商談に入ることができます。

ただ、2020年以降は外出自粛・対面自粛の営業活動がスタンダードとなっています。自社の信頼にも関わることとなるため、よほどのことがない限り、訪問営業は選択候補としないことも考えましょう。

【5】手紙・ダイレクトメール(DM)

名刺交換により、個人情報が判明している相手に「手紙」を書くことは現代でもまだ残っているプッシュ型営業手法です。

メールのように、担当者へ直接情報を届けられることが特徴。手紙は手書きで書くことで、手書きに誠意を感じてもらえそうな相手の信頼を勝ち取ることができます。

新規顧客に対する6つのプル型アプローチ方法!

本章では、インターネットメディアなどに掲出した広告などから顧客自ら問い合わせをしてくれるようなプル型のアプローチ方法について紹介します。プル型アプローチ方法には、以下6つのやり方があります。

【1】SNS

SNS上で自社の公式アカウントを取得することでマーケティング活動、宣伝活動、ブランディングがおこなえます。さらにSNS上に広告を出稿(2020年のSNS広告媒体費は5,687億円、Web広告全体の32.4%。電通調べ)したり、自社サイトへの流入傾向を解析して今後に役立てることも可能です。

ビジネス層にはFacebookユーザーが多く、若年層にはTwitter、LINE、Instagram、TikTok等が人気。近年では音声メディアにもインフルエンサーが集まり、注目されています。音声SNSはVoicy、Clubhouse等。

自社商材に合ったメディアとは何か、情報発信に適したSNSは何かを踏まえて運用する媒体を選びましょう。

【2】Web広告・他

広告を目にした潜在顧客が問い合わせなどのアクションを起こしてくれることも、理想的なプル型アプローチと言えます。

昨今では街や駅にある広告、TVCMだけでなくWeb広告が重要視されています。

電通の調査によると、日本の総広告費は6兆1,594億円で「インターネット広告費」は2.2兆円規模、総広告費全体の36.2%の市場ともなっているようです。現在の対面自粛・外出自粛の環境下ではWeb広告市場がより拡大すると見込まれています。

Web広告は「文字だけ」「静止画」「動きを取り入れたムービー形式」と様々な形態を選べることもメリット。ターゲットを適切に設定すれば、省コストでの大きな効果も見込めます。

【3】プレスリリース配信

インターネットインフラの拡充により広まったプル型営業方法のひとつに、プレスリリース配信があります。

プレスリリースは、マスコミなど各種メディアに向けて企業としての新しい発表をおこなう手段です。これまで自社について何も知らなかった人の目にも届き「こういうことをしている企業なんだ」という認知をしてもらうきっかけとなります。

プレスリリースはニュースのように報道系サイトやSNSなどで取り上げやすく、拡散性が高いことも特徴です。「プレスリリース配信サイト」の新着情報をもとに更新するネットメディアも少なくないため、自社サイト内プレスリリースだけに留まるのではなく、配信サイトを利用することも検討してみてください。

【4】ホームページ運営

自社のホームページ・公式サイトを運営して、独自のオウンドメディアから広く発信することで検索上位サイトとなり、コンバージョンとして顧客の問い合わせを得ることもプル型営業として理想的です。

読者である「課題を抱えた顧客」の悩み・ニーズに訴求するような内容を発信できれば、自社への信頼を勝ち取り多くの問い合わせにつながるでしょう。メディアから自社商材への自然な導線が引ければ理想的です。

検索上位を狙うことや、コンサルなどにSEO対策を依頼する費用の捻出が難しい場合などは、検索結果の広告であるリスティング広告を利用するという方法もあります。

【5】セミナー・オンラインセミナー

セミナーは、展示会と同じようにプッシュ型営業として運用する方法や、問い合わせや展示会から得られた顧客を次のプロセスとして招く方法など様々な活用方法が考えられます。

外出・対面自粛の影響で、昨今ではオンラインセミナーの開催がさかんです。課題を自ら解決し、学びを得ようと積極的にセミナーを探すユーザーが増えています。

各社がこぞって取り入れているため、ありふれたテーマでは参加者の心が動かせないこともあります。自社商材をいかにしてテーマに絡めるかが重要になってきます。

顧客の課題を解決するために、セミナーを通じて自社商材がPRできれば確度の高いリードの創出が期待できます。無料セミナーでは潜在顧客を幅広く集客でき、有料セミナーではより自社商材に対する理解度の深い顧客を集められます。顧客の段階を見極めて、勧誘するセミナーを選んでみるのもいいでしょう。

オンラインセミナーは、セミナー情報のポータルサイトに登録することで有料・無料問わず簡単に告知できるようになりました。スマホなどデバイスひとつあれば参加できるため、従来のセミナーより参加ハードルも非常に低いことが特徴です。

インサイドセールスのためにもオンラインセミナーは効果的であるとされており、導入は一気に加速しました。

【6】YouTube

YouTubeは自社メディアでの発信のように、企業自ら能動的に発信し、顧客の問い合わせを見込めるプル型営業のひとつです。

インターネットインフラの普及に伴い、元来大容量コンテンツとして敬遠されがちだった動画も手軽にスマホなどで閲覧できるようになりました。

YouTubeのメリットは、テキストコンテンツに勝る圧倒的な情報量を潜在顧客に届けられることです。

例えば造園業であれば「人工芝を使った庭のリフォーム方法」など、YouTubeを使った動画コンテンツでしか表現できない内容を発信すれば抜群の視覚効果で顧客に訴求できます。

ユーザーのニーズに訴求する内容を発信することで検索上位も狙えるでしょう。

【応用編】失注顧客へのアプローチ方法

これまでは新規顧客を獲得するためのアプローチ方法について紹介しましたが、以降は番外編として、新規顧客以外へのアプローチ方法について解説します。

本章では失注顧客へのアプローチ方法について解説します。

企業によって失注顧客の定義は様々ですが、失注顧客は時期やタイミングが悪かっただけでいつか掘り起こせる休眠顧客となり得ます。ぜひ失注顧客へのアプローチを考えている方は参考にしてみてください。

失注顧客をツールで管理し、明確に期間を定めて追客する

失注顧客とは「受注できなかったリード」と解釈することもできます。つまり失注こそしたものの、こちらにとってはあらかじめ相手の課題などが把握できている状態です。

そこで、失注顧客を「いずれ改めてアプローチをかけるリード」として「いつ再アプローチするのか」「誰が担当するか」といった内容を決めて管理しましょう。

「失注顧客とはどのようなやり取りをして失注に至ったのか」といったログを取っておくことも必要です。顧客管理ツールなどで管理すればメルマガ自動配信などもでき、便利です。

ツールで営業プロセスを管理、共有することはインサイドセールスやフィールドセールスなど部署間の連携を円滑化し、時間を削減することにも貢献します。

失注顧客は一度断られた相手でもあるため、再アプローチするセールスパーソンの心理的ハードルも高くなります。そこであらかじめアプローチ時期を明確にしてあげることで、新たな共通事例を発掘するなどのための充分な対策期間が得られるため、再アプローチがしやすくなるでしょう。

失注顧客にはメールのような低コストプッシュ型営業でアプローチする

潜在顧客からリードに昇格させる段階で、ふるい落とされた顧客をすべて失注顧客として扱うのであれば、膨大な数が失注顧客とカウントされ、担当者の負担が上がります。

そのため、数が多い失注顧客へのアプローチにはできるだけ低コストな方法を選びたいです。

失注顧客にアプローチするには、メール配信が理想的です。

内容は、顧客自身の潜在課題を呼び起こすような啓発的コンテンツや、自社サービスや営業プロセスの改善案にもつながるアンケート形式が適切。

顧客管理ツールを導入しているのであれば、メールマガジンの自動化を検討してみましょう。ツールはメール開封率の高い顧客のみを選んで追客できるなど、営業プロセスの簡略化が強みです。

相手からのリアクションがあれば、随時電話やオンラインセールスを用いたヒアリングに移りましょう。

【番外編】既存顧客へのアプローチ方法

既存顧客は常に同業他社のターゲットであり、放置していては売上の減少をもたらします。

また信頼の深まりによって新たな課題を抽出できたり、他部署を紹介してもらうなど低コストで新規案件につながる可能性もあります。

そこで本章では既存顧客へのアプローチ方法、アップセルやクロスセルにつなげる方法について解説します。

【既存アプローチ1】定期訪問・点検

既存顧客とはこれまでに何度も顔を合わせているため、改めて会うことに対しての心理的ハードルがお互いに低くなっています。

また一度商品を売って、その後一切連絡が途絶えてしまうような販売者は信頼性に欠けます。

フォロー専門担当者に任せるやり方もありますが、相性が悪く言いたいことがうまく伝えられないといった状態に先方が陥っているかも知れません。そのため、意識的にセールスパーソン自身が「成約後の顧客がどのように自社商材を扱っているか」等ヒアリングする機会を定期的に設けましょう。

昨今では対面形式の営業手法が自粛されており、訪問もしづらくなっています。そのため、メッセージや電話、ビデオ通話などで顧客のアフターフォローを円滑に行うカスタマーサクセス担当者・部門を設けることも検討しましょう。

【既存アプローチ2】情報提供

もし定期訪問や点検によって、既存顧客が新たに抱えた悩みやこれまでになかった課題と向き合っているといったことが判明したら、同種の事例などを情報提供するようにしましょう。

訪問が定期的にできない場合でも、メールマガジンの配信などによる潜在課題の喚起は継続することが重要です。

あえてメールの情報量を少なくし、何度かに分けて発信することで接触機会を増やすことも既存顧客に対しては効果的なため、意識して取り組んでみてください。

【既存アプローチ3】限定キャンペーン

積極的に既存顧客へアプローチする方法として、既存顧客向けのキャンペーンを開催する手段があります。

既存顧客限定というプレミア感を演出し、割引や無料セミナーへの招待といったアプローチをおこなうことで顧客満足度の向上が期待できます。

また既存顧客向けのキャンペーン内容を、新規顧客との案件を進める上で提示することで、契約後のイメージを良くするために利用することもできます。

顧客の属性を見抜き、プル/プッシュ型営業アプローチを効果的に使い分けよう

顧客へのアプローチ方法は自分から攻めるプッシュ型と、各メディアへ情報を提示して潜在顧客に訴えかけるプル型に分けられ、トータルで11種の方法があります。

いきなり全てのアプローチ方法をするとなると、企業の体力が削られて終わってしまう可能性もあるため、自社商材が刺さる顧客をあらかじめ想定した上で特化・注力するアプローチ方法を選択しましょう。

仮に体力がある企業でも、闇雲にテレアポやメールといった手段を繰り返していては悪評を招くかも知れません。常に顧客満足度を意識して、商品を売り込むのではなく「顧客の課題を解決する」という立場でアプローチをおこなうべきです。

またプル型営業ではメディア制作などをおこなうため、恒久的に残る自社の資産を得ることもできます。効果的にプッシュ型・プル型を使い分けて、自社に合った効率的なアプローチ方法を探してください。