テレアポは、非常に多くの顧客リストへ次々に電話をかけることになります。
つまり毎回違う言葉を考えたり、場当たり的に対応していたのではリソースを激しく消費してしまい、非効率的です。
そのためテレアポではトークスクリプトを使い、相手に合わせて柔軟に内容をブラッシュアップさせることが必要になります。
そこで今回は相手の興味を引きつけるテレアポのポイントや、テレアポにおけるNG行為についてご紹介します。
すぐにでも実践できる内容となっているため、是非テレアポの成果向上に役立ててください。
テレアポではシンプルなトークスクリプトが基本。成約率につながるポイントは7つ
テレアポにおけるトークスクリプトはシンプルさが基本です。
「こんにちは」という挨拶に始まり、「~といったサービスを提供しております◯社の◯◯です」と端的かつフックとなる自己紹介をしましょう。
そして相手の興味を引きつけるための掴みのトークに移りますが、いきなり単純に自社商材の紹介を始めてしまっても売り込みだと思われてしまいます。
そこでここからは、どういった話の掴み方をさせるべきかといったテレアポにおけるポイント7つについて紹介します。
ポイント1:トークスクリプトを相手・状況に合わせて使い分ける
テレアポのオペレーターは、まず第一関門として「受付」を乗り越えて担当者を引き出す必要があります。
そのため、まず電話に出た相手が誰であるかに合わせ、例えば以下の表のように対応を変えていきましょう。
自分が所属する業界によってアプローチ方法を変えてみてください。
相手の属性 | 状況 | 対応策 |
相手企業の電話受付担当者 | 初回荷電で用件を問われる | 用件を簡潔に伝える。相手企業の関心が引ける話題を提供できれば受付突破率に寄与する |
相手企業の電話受付担当者 | 上記の後にキーパーソンへの目通りを断られた | (この状況を迎える前に)キーパーソンの名前を指名しておく。断られても「承知しました」「確かにおっしゃるとおりです」と相手の言い分を受け入れ、別商材などでアプローチできるのであればそちらを使ってみる。「しかし」「でも」といった逆接は引き下がり感があるので禁句 |
想定外の相手 | 本来つなぐべき担当者が不在 | 本来つないでもらいたい相手がいつ帰ってくるかを聞き出す。その時間に再度電話をかける |
ポイント2:目的は見失わず、知っていることすべてを話しきらないようにする
テレアポ本来の目的は、商談のアポイントや商材理解による成約への距離を近づけることです。
電話を掛ける際のマナーや相手への印象を良くすることだけに力を注いでしまうと、目的からずれがちになります。
そうならないために、自社商材について何を聞かれても即座に答えられるよう準備ておきたいところです。
事前に商材についてのエキスパートとなれるほどの知識を蓄えた上で、日々知識をアップデートしておきましょう。
ただ知識が豊富になると、良かれと思って「聞かれてもいないこと」まで話してしまい、相手の興味を削いでしまったり、相手の真意が汲み取れず引かれてしまうこともあります。
電話は対面と異なり、手元の資料を視覚的に見せられないため、どうしても言葉の意味を誤解して捉えてしまうケースが多くなりがちです。
そのため、電話の目的が対面商談やオンライン商談の取り付けであるなら、そちらに導けるよう会話を誘導し、本来の目的を達成することを心がけてください。
「全部話しきれなかった」などと悔やまず、あなたの時間が効率的に使えたと思うようにしましょう。
ポイント3:営業電話だと思われないようにする
前段落にもあったようにテレアポはお互いの顔が見えない環境で行います。
そのため相手から不信感を抱かれないよう、つまり営業電話だと思われないようにしたいところです。
トークスクリプトを作る際には、できるだけ営業電話だと思われることなく、好意を持ってもらえる内容にしましょう。
「販売」「セールス」という単語を使わないようにするだけでも印象は大きく変わります。
そのためにまず「相手企業の課題を聞き出す」「自社商材と相手企業の課題の相性の良さを理解してもらう」というように、警戒心をときほぐし、売りつけ感を持たれないようなテレアポの目的を設定しておくべきです。
新規テレアポの場合も、オーバーに相手を尊重して丁寧に挨拶しすぎると一瞬で警戒されることもあるため、お時間を頂いた事へ謝辞を述べてすぐに本題に入ることもひとつのテクニックです。
自社の人間が相手企業と何らかのつながりがある場合なら、その人物の名前を先に出してしまうと相手の警戒を解きやすくなります。
例えば「以前お世話になった営業課の◯◯から頼まれて、御社の課題解決のためのご相談を……」などです。
さらに企業研究で得た知識により、電話で使う単語を厳選し、相手の興味を引ける言葉を使いこなせるようにしましょう。
企業研究や業界研究については過去の記事も参考にしてください。
ポイント4:わかりやすい話し方を心がける・台本に記入する
電話をしている相手に「話の内容が難しい」と思われてしまっては、それ以上テレアポの内容に興味を持ってもらえなくなり失敗に終わります。
するとアポイントどころか、決定権を持つ人物への取り次ぎについても望み薄となってしまいます。
そのため、自社内で当たり前に使われているような専門用語などはトークスクリプト上では使わないようにし、簡潔に誰にでもわかりやすく伝えるような話し方をしましょう。
また、明るくメリハリのある話し方に人は好印象を抱きやすいものです。
そのため声のトーンを上げることを意識し、落ち着いて話題を提供することを心がけてみてください。
トークスクリプトの中で「ここは明るく話そう」「ここは落ち着いて説明し、必ず相手の理解が得られるようにしよう」等と思う部分にはあらかじめ赤や青など色替えをしたり線を引いたり、どのような感情を込める予定かを書き起こすなどしてみてください。
自分にとって一番わかりやすい台本を作ることが、成功につながるトークスクリプトづくりの一歩目とも言えます。
過剰とならない限りの工夫を凝らしてみましょう。
始めのうちは、とにかく自分のペースを手に入れテレアポに慣れることが必要です。
意識して明るく、と考えてしまうとどうしても第三者から見た場合に不自然になってしまう場合があるため、他記事でも紹介しているようなセールストーク練習法を取り入れ、自分を客観的に見つめ直してみてください。
ポイント5:相手のニーズに刺さるように具体的に話す・話法を使う
競合他社も同じく毎日のようにテレアポをしているため、テレアポの内容で他社に差をつけたいところです。
そのため話す内容の具体性を高めましょう。
特に事例を話す際には数字を話すとわかりやすいため効果的です。
例えば「自社のサービスによりA社の問い合わせ数が月別で◯件増えた」「セミナーを通しての個別相談が何%増えるようになった」などです。
具体的な数字を示せば話が早いだけでなく、信頼性を担保します。
また自社が持っている数字をうまく利用できるように、相手の悩みや課題、つまりニーズをヒアリングすることも大切です。
相手のニーズと自社商材が合致すれば一気に「もう少し話を聞いてみたい」というアポイントへの誘導、ひいては成約に近づくためです。
ヒアリングのためには企業研究・業界研究は必須です。
業界の事情、相手企業が属している市場の特徴も捉えずに電話をかけても、バカにしているのかと思われて終わりです。
そのためアポインターが詳しくない業界をリストに入れるのは危険です。
業界を熟知した状態であれば「御社に必要な情報を持っています。生産性を向上させるためのプランをご紹介したいのですが~」といった切り口で相手の興味を引きつけ、電話の冒頭で切られなくなることも可能となるでしょう。
アポインターの自信は確かな知識に裏付けられます。そしてその自信は、相手がこちらを有益な人間であると思ってもらうことにつながります。
他にも、信頼を得るための話法には以下のようなものがあります。
話法 | やりかた |
Yesセット話法 | 「Yes」で答えられる質問を重ねてから本題に入る。共感を獲得する 例:「こんなことに悩んでおられますよね」「~を効率化したいですよね」 ※テレアポ冒頭では断りやすくなるためNG |
相手の話を聞くに徹する | しっかりと相槌を打つなど、真剣に相手の話に聞き入ることで相手の懐に入り、より深い本心、課題を引き出す |
Yes-But話法 | クロージングに有用。相手の「断る理由」をひとつひとつ潰していく。 例:相手「貴社の商材に惹かれているが、社内合意や金額といったネックがある」自分「キーパーソンとお話できる環境がいただければ、今期限定の割引プラン等もご紹介できます」 |
選択肢の提示(ダブルバインド) | アポイント獲得に有用。 例:「ご都合が良いのはいつでしょうか」ではなく「何月何日と何日なら、どちらがご都合よろしいでしょうか(断ることも可能だと付け加えると安心感UP)」 |
ポイント6:テレアポ支援ツールを導入する
テレアポでは、数をこなすために多くの「潜在顧客リスト」が必要になります。
リストが多いことは嬉しいことですが、オペレータはそのすべてに電話をかけなければならないため、単純に凄まじい労力が必要になります。
そのため、テレアポに必要と思える道具はいくらでも調達すべきです。
例えばテレアポ中に両手が空き、いつでも資料の確認やメモができるヘッドセット、案件の内容を自動的にメモできるオーディオ録音機能、相手が興味を示した場合にすぐ資料共有できるビデオ通話アプリの導入などが考えられます。
さらにテレアポ自体に特化した「CTI(Computer Telephony Integration)」を導入している企業も増えています。
インサイドセールスの普及に伴い、コールセンターを自前で用意するという動きが広まってきました。
CTIは、テレアポなどコールセンター業務を効率化する技術です。
例えば受電した際の電話番号を自動的にリスト化・録音してくれたり、営業支援ツールであるCRMやSFAとの連携ができるようになるというもの。
営業支援ツールについては以下をご参照ください。
CTIを導入すれば、各種ツール上からクリックひとつで電話がかけられるようになったり、大幅な業務効率化が期待できます。
ポイント7:PDCAを意識して改善する
トークスクリプトは一度作ったら終わりではありません。
これまで見てきたように、相手である顧客が属している分野、もしくはその情勢によって適宜フレキシブルに変化させるべきであり、成果が出なければフィードバックを行って改善すべきだからです。
さらにオペレータ自身の技術向上に伴い、内容がブラッシュアップされるのは自然なことと言えます。
そのためにはPDCAサイクルを意識しましょう。
PDCAサイクルとはPLAN・計画→DO・実行→CHECK・評価→ACTION・改善を繰り返し行うことです。
PDCAサイクルについてはインサイドセールスの記事も参考にしてみてください。
また、案件獲得などある程度の評価が見込める様になった場合は自分へご褒美を用意するなどしてお祝いをしましょう。
お祝いや打ち上げといった考え方は目標を達成する上でのモチベーションともなります。
「もしダメでも◯◯しよう」「うまく行ったら△△しよう」と決めてから業務開始するだけでも意識の入り方が変わります。
こんなトークスクリプトはダメ!!!
トークスクリプトを使う上ではNGな行為にも気をつける必要があります。
ポイント5でも触れたように事前準備で業界研究を怠るなどは危険しかありません。
してはいけないこととは、相手の信頼を失うような行為です。
つまりこれまで紹介したような上記ポイントと逆の行動をしてはいけないということになります。
代表的なものを3つご紹介します。
1:誠実でない、嘘を付く
成約に近づくトークスクリプトの章、「営業電話だと思われないように」でも触れましたが、営業電話だと思われたくないがために「自分が相手にとって既存の取引先企業である」と嘘をついたり、そう思わせるように誘導するといった行為は問題外です。
その場をごまかせたとしても、調べたらすぐにわかることであり、後ですぐにばれます。
何よりも信頼の失墜により、自社企業とだました相手企業は自分のせいで半永久的に取引が発生することがなくなることもあり得ます。
損害を被るのは自分が所属している会社であり、場合によってはその行為をした人が法的手段で責任を問われることになってもおかしくありません。
2:テレアポ序盤で相手に選択肢を委ねる
ポイント5ではYesセット話法を紹介しましたが、テレアポ序盤でYesセット話法を使うと、是か非かの判断を早々に相手に委ねてしまうことになり、圧倒的にお断りを呼んでしまうため気をつけましょう。
あなたが気を遣って「少しお時間良いでしょうか」と聞いたところで相手は「忙しいです」と事実を述べるだけで終わります。
3:営業っぽすぎて断りやすくなっている
テレアポが断られる最大の理由として「営業電話だと理解できた相手による『マニュアルお断り』」が起こるから、というものがあります。
相手企業も、日々多くの電話を受けているため経験豊富なので、営業電話に対する視野が鍛えられています。
そのため上記に挙げたような、営業電話だとは簡単に思われないトークスクリプトづくりが必要です。
トークスクリプトをベースに経験を重ね、テレアポ技術を高めよう!
トークスクリプトは、テレアポをおこなう上で相手の信頼を損ねず、ありがちな営業電話だとは思われないように業界研究など事前準備を尽くして作成していくべきです。
さらにNG行為などに注意すれば、後は経験を重ねてテレアポのスキルを磨くのみとなります。
テレアポ技術とともに、徐々にアップデートを進めたトークスクリプトは様々な応用が効く内容に仕上がっているでしょう。
ぜひ他社に負けないオペレーターとなるべく、本記事のポイントをおさえて明日からの電話で試してみてください。