実践するだけで効果が上がる!オンライン商談の成約率をあげる13つのコツ

「リアル商談には自信があったのに、オンラインだと上手くいかない……」という悩みを抱えるセールスパーソンが増えています。

コロナ禍でオンライン商談(オンラインセールス、リモートセールス)が急速に広まりました。しかし、急なセールス体制の変化に戸惑い、苦手意識を持つセールスパーソンは少なくありません。

「オンラインとはいえ、商談は商談だから決して失敗しちゃいけない、熱量があれば決められる一発勝負だ」と身構えてしまっていませんか?オンライン商談には、対面商談とは異なる成功するための方法があります。今回ご紹介する成功のコツを実践することで、苦手意識を持った方でもオンライン商談の成功率をアップすることができます。

オンライン商談には、リアル商談とは異なるノウハウが必要です。今回は、オンライン商談「前」・商談「中」・商談「後」という3つのブロックにわけ、全13のコツをご紹介します。段階ごとにするべきことが決まっているため、ひとつひとつ立ち止まりながら確実に自分のすべきことを進められるようになっています。

本記事を読み、オンライン商談のコツを身につけることができれば失敗は限りなくゼロに近づき、オンライン商談で今後悩むことはなくなります。ひいてはあなたの成約率向上が実現できるでしょう。

対面商談と同じやり方でオンライン商談をやると失敗しやすい!

オンライン商談では視覚・聴覚・身体感覚・味覚・嗅覚からなる「五感」の優位性が変わります。

つまりオンライン上では「受け取り方」が現実と異なるため、対面と比べるとうまくコミュニケーションが取れません。ところどころで距離感が生まれます。

たとえ明るい場所にいてお互いの顔が見えていても、表情が伝わりづらくなります。そのほか、人柄や雰囲気も対面より伝わりません。

またオンライン商談では、対面時のような実物の資料を手に取りながらの説明が不可能です。せいぜい、事前にファイルを共有する程度が限度でしょう。そのため、商材の魅力をじゅうぶんに伝えられないかも知れません。

対面商談で培った情熱・人柄・威勢の良さなどの「相手の懐に入る技術」が通用しなくなるため、同じ感覚でオンライン商談に臨んでしまうとほぼ失敗してしまいます。

相手の信頼を得るためには、普段よりも意識して「安心感」を与えるなど気を配るべきオンライン商談独特のポイントがあります。

各ポイントをおさえて、オンライン商談成功のコツを身につけましょう。

オンライン商談では、視覚と聴覚の情報が最重要!

オンライン商談では一般的にビデオ通話アプリが使われます。

つまり、画面にはお互いのバストアップしか映されません。そして音声でのコミュニケーション方法はお互いのマイクを通じてのみ。

以上の条件からわかるように、オンライン商談では五感の中でも視覚と聴覚の情報が最重要となります。お互いカメラ・マイクは必ずオンにするという環境をつくりましょう。

視覚・聴覚に訴えかけて印象を良くする方法は以下の通りです。

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ノートパソコンを使う場合の注意点

ノートPC付属のカメラでは「上からカメラを見下ろす」という状態でビデオ通話に臨むケースとなりがちです。実はこの状態、画面の向こうの顧客側からすると「見下された印象」となることも。

相手と対等か自分を低い位置に見せるために別途カメラを設置する、カメラが高い位置にあるPCを使うという方法を選ぶのも一つの手です。

オンライン商談ツールでの注意点

暗い場所での会議は全体的な印象も暗くさせます。場所・背景ともに明るさ重視を意識しましょう。アプリケーション毎に、画面を明るくできるような設定項目も存在します。

リアクションに関する注意点

実はビデオ通話では表情も伝わりづらくなります。

相手の説明を聞くことに集中すると、無表情のまま固まり、動かない人も多いことでしょう。しかしこの際、相手は自分の話を聞いてもらえているのか、理解されているのか不安を覚えます。

この現象を回避するため、多く相槌を打ちましょう。「なるほど!」「すごいですね!」など色々オーバーリアクション気味に反応してあげるべきです。大げさに振る舞ってもオンラインでは不自然に思われないのです。

マイクに関する注意点

またマイクも、聞き取りやすさ、つまり聴覚情報により訴えかけることができる指向性の高い製品を用意しましょう。

ビデオ通話の環境だと、聞き取りやすさはどうしても対面には劣ります。指向性の高いマイクは雑音を拾いにくいため、環境改善に役立ちます。双方とも商談に集中できるでしょう。

オンライン商談準備段階におけるインターネット回線チェック時などに、カメラやマイクが正常に動作するかテストを忘れないようにしておきましょう。

オンライン商談の成約率をあげる13のコツ!

オンライン商談を成功させ、セールスパーソンの成約率をあげる13のコツについて解説します。

各ポイントは「商談前」「商談中」「商談後」と3つのセクションに分かれており、それぞれの段階でクリアしなければならないコツが存在します。

逆引きも可能ですので、あなたの商談の段階によってピンポイントな活用をしてください。

オンライン商談成功のために必要なポイントは商談前からすでに存在しています。途中でボロが出てしまわないように、それぞれ確実にクリアしていくことが肝心です。

ひとつひとつ身につけ、実践するよう心がけてください。

<オンライン商談前のコツ1>:オンライン商談相手のことを事前に調べ仮説を立てよう!

セールスパーソンにはものを売る能力だけでなく、顧客に適切なインサイトを提供できるようなビジネスパートナーとなる役割が求められます。

この考え方は、オンライン商談/対面商談問わず必要なことです。商談相手が携わるビジネスについての知識を事前に蓄えておきましょう。

オンライン商談はPCや音声機器さえあれば実現できるため、対面商談よりもアポ獲得がしやすくなります。

つまり数をこなせるようになるため、各商談における事前準備=事前知識の収集を怠らないことが成約率向上に直結します。

仮説設定構築のためにヒアリングをしよう

顧客のビジネスについて顧客以上に理解しておくためには、商談の本番前段階におけるヒアリングが効果的です。

電話やメールを利用したヒアリングで、顧客のペルソナを探ります。ほか顧客の企業が運営しているSNSを深堀りするやり方も効果的です。

すると「今、こんなことに困っているのではないだろうか」というような顕在化していないニーズが組み込まれた仮説を形成できるようになるでしょう。

事前ヒアリングから生成した「アジェンダ(当日の題意、時間配分、担当者などが記載された進行管理表)」を商談相手に渡し、一読してもらってからオンライン商談に臨んでもらえば、スムーズな進行につながります。

ヒアリングでは、見込み客の温度感や興味がひと目でわかるアンケート結果が得られることにもなります。ヒアリングリストや顧客カルテといった形で保管しましょう。

顧客がまだ商材についての関心は薄い、温度感が低いと判明したら、より情報提供によるナーチャリング(育成)を加えるというやり方も必要となります。

<オンライン商談前のコツ2>:トークスクリプトを作り込もう!

オンライン商談では人柄や雰囲気が伝わらないため、相手に刺さる内容となる聴覚情報を重視すべきとお伝えしました。そのためトークスクリプト(台本)の構成も大切です。対面商談の場合よりも、言葉で伝えることを意識した台本にしましょう。

例えば、事前に以下のようなことを決めておくといいでしょう。

  • 説明が一段落するごとに「以上の説明で、わからない部分はありますか?」と質問を促す
  • 反応を引き出すために、商談というよりは質問や感想を促すヒアリングをベースとした会話を心がける
  • 説明内容への顧客の関心が薄いと感じた場合、早々に切り上げて別の項目の説明に移れるように準備しておく
  • 沈黙してしまう場合には「それでは、少しお時間を取りましょう」等、口に出すと予め決めておく

他、自分のPCが重くなりプレゼンの表示が遅れてしまうなど、こちらの予期せぬアクシデントや、相手の考えがまとまるのを待つ間など、沈黙が必要な場面も多くなるでしょう。その際は、相手の不安を招かないように、今まさに自分が操作していることなどをリアルタイムに伝える等、「言葉にする」ことを心がけましょう。

初めのうちは意識しないと言葉が出てきません。そのため「資料ロード中、画面共有準備中など、どういう時に沈黙が生じる可能性があるか」をあらかじめ台本に入れ込んでおくべきです。いずれは自然と言葉が出てくる状態を目指しましょう。

「沈黙」も使い方次第~おすすめのトークスクリプト構造

沈黙も、必ずしもデメリットがあるわけではありません。商談相手がこちらの商材について利用方法や導入すべき点について時間をかけて考えてくれるという意味もあります。そのような場合は、こちらも積極的に相手のメリットを追求するために考える時間とすることもできるでしょう。

このようにオンライン商談もコミュニケーションの場であるため、常に相手を注意深く観察し、顧客の状況に応じた対応が必要となります。

またオンライン商談では、回線の問題などで映像、音声が途切れてしまうこともあるため、凝った言い方や回りくどい言い方のような微妙なニュアンスが伝わりづらくなります。「まず結論を短く端的に伝え、その後で理由や根拠をお話する」というわかりやすいトークスクリプト構造がおすすめです。対面商談よりも「伝える」を意識しましょう。

商談時のトークシナリオを作る際、相手に深く考えてもらいたい箇所や、印象づけたい話をする前に、意図的に沈黙するポイントをあらかじめ設定しておくこともおすすめします。

<オンライン商談前のコツ3>:10分前には入室して、マイクやスピーカー、カメラのチェックをしておこう!

オンライン商談には、余裕を持って臨みたいものです。直前になって慌てないように、当日使うカメラや音声をチェックしておきましょう。点検内容としては、カメラはしっかり映るか、こちらや相手の音声が途切れたりしないかなどです。

また当日も10分前には商談室(ビデオ会議室URL)に入室し、マイク・スピーカー・カメラのチェックを誰かに任せるのではなく、商談を進めるあなた自身でチェックしましょう。

カメラ写りには下記のようにいくつかポイントがあります。

  • 明るい印象を与えるために―――窓際に位置取りして自然光を取り入れる、照明を使う、どちらも不可能ならレフ板を使う
  • 上記が無理なら膝の上に白いハンカチを置いてみる
  • ノートパソコンのカメラは位置が低く、そのまま利用すると相手は見下されている印象を受けてしまう。下に台を設置するなど対等になれるような工夫を

そして準備したトークスクリプトや資料は、すぐに取り出せる場所に保存しておきましょう。同時に、画面共有の際などに映してはいけないものが映ってしまわないように不要なタブやウインドウを消しておきます。

リハーサルのすすめ

本番ではどうしてもあがってしまい、手間取ったり、操作ミスをしてしまうものです。どこで資料を共有するのか、どのタイミングでページをめくるのかなど、先に作成したトークスクリプトも利用するような入念なリハーサルを行っておくことを推奨します。

相手側がうまく画面の表示ができないようなトラブルも想定できますので、操作方法を教えられるような準備もしておくと良いでしょう。あなたのサポート能力に信頼感を抱いてくれる可能性があります。

また相手の回線状態によっては、音声だけは電話回線で、映像だけアプリ型・ブラウザ型ビデオ通話を利用する方法が適している場合があるかもしれません。利用予定だった通話ソフトだけでなく、代替手段を手早く提案できる体制を整えておけば、万が一商談がストップしてしまってもすぐに再開できます。

<オンライン商談前のコツ4>:プレゼン資料をオンライン資料用に工夫しよう!

オンライン商談は、ビデオ通話アプリの画面共有機能などで資料を共有するため、商談用のプレゼン資料はデジタルで作成しましょう。最低限、ビデオ通話アプリで読み取れる状態にしておく準備が必要です。

印象に残る資料とするために図やグラフを利用することを心がけ、画数が多く潰れてしまいそうな漢字は平仮名にするなど、やはり相手側に配慮した作り込みをしましょう。プレゼン資料は視覚情報に訴求するため、当然「見え方」にも気を配る必要があります。

また視覚情報に訴求するようなデータ以外は、事前にURL等でお渡ししておくという方法も意識すると便利です。顧客は後からでも内容を確認できるため、商談の流れを止める回数を減らし、商談後の印象をアップすることにもつながります。

字の大きさは32pt以上に

ただ、資料作成時は文字の大きさに最大限注意を払いましょう。例えばPowerPointでは基本的に32pt以上の文字サイズでないと、デスクトップPCかノートPC、場合によってはタブレット端末のようにさまざまな状況が想定される相手側環境で、確実に可読してもらえるのは難しくなります。

資料1ページ内にメッセージを詰め込みすぎず、顧客が理解しずらくないように、1スライド1メッセージという情報量を意識します。

基本的にはお互いカメラをオン、表情を見ながらプレゼン資料の共有を進めていきます。資料を画面共有しない場合は事前にページ数のついたドキュメントファイルなどを利用します。

「続いて、資料Aの何ページを開いてください」など、台本で本番の行動をなぞるリハーサルをしておけば当日のトラブルを最小限に抑えることができるでしょう。

<オンライン商談前のコツ5>:自分の販売する商品やサービスが投資回収型なのか、自己実現型なのかによってアプローチを変えよう!

商材は「投資回収型」か「自己実現型」に分類できます。

「投資回収型」は顧客の売り上げに直結する商材です。例えば50万円のサービスを購入することによって、50万円以上の売り上げが得られるようになるといった形。

「自己実現型」は、「能力開発により理想的な自分を手に入れる」など抽象的なものです。

それぞれ顧客にとってのベネフィットが大きく異なります。特に後者はイメージしづらいため、あなたの取り扱う商材が「投資回収型」か「自己実現型」かによって、以下のようにアプローチ方法を変える必要があります。

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投資回収型の場合は明確な数字という根拠がありますが、自己実現型の場合はセールスパーソン自身のコンサルティング力が商談の成功率を左右します。その場合、顧客の「薄々は気づいているが自覚していない課題」に切り込めるかどうかが重要となります。

この段階では、顧客の根源的な欲求を深堀りします。適切にニーズを引き出し共感していけば、顧客の「Yes」を積み重ね、テストクロージングへとスムーズに移行できるようになります。

<オンライン商談中のコツ1>:まずは商談の場の大前提のニーズの合意をしよう!

オンライン商談は対面商談よりも比較的アポイントが取りやすいため、軽いヒアリングのような気持ちで商談に臨む顧客がいてもおかしくありません。

そういった場合、セールスパーソンが商品・サービスの説明を初めてしまうと、説明を受けた側は「売り込み」をされた、ひどい時には「押し売りをされた」と捉えてしまいます。

この状況を回避するために、商談の場における「大前提のニーズ」について、心理的な合意を得ることを図りましょう。

大前提のニーズについての合意とは、「この場は顧客の何らかの悩みや課題を解決するための場であり、何らかのセールス行為や顧客に対しての提案がある」と認識してもらうことです。

顧客がオンライン商談に臨む理由は「何らかの困りごとや問題を抱えており、解決したい」ためです。そこでその問題解決ができる可能性があると先に説明しておくことで、顧客はあなたのことを押し売りと思うことはなくなります。この方法は、「セールスは単なる売り込みであるから苦手」という意識を持った方にとっても効果的な手法です。

<オンライン商談中のコツ2>:まずは共感と第一印象で見込み顧客の不安な気持ちを和らげよう!

オンライン商談とはいえ、課題解決のために時には企業の内情も交えて初対面の相手と話さなければならないため、顧客は少なからず不安を抱いています。そのためセールスパーソンは顧客の不安を取り除く必要があります。

顧客の不安を取り除くためには、いきなり質問攻めにしたり商材の説明をせず、まずお客様が不安な心情であることについて「共感」しましょう。文字通りアイスブレイクのようなものです。

「共感」のためには以下の3つを心がけましょう。

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この3点を意識することであなたの第一印象が上がります。その状態でお客様に共感することで、心理的安全基地が形成でき、顧客の心理状態は「安心」へと変わるのです。

<オンライン商談中のコツ3>:質問によって見込み顧客が本音で話せる状態を作り出そう!

顧客の安心が担保できたら、やっと「質問」に移ることができます。

「信頼に足る」と相手がこちらを評価してくれれば、顧客が本音を話してくれたり、普段は語らないような胸の内を明かしてくれるようになります。

この段階で、こちらの質問によって顧客に気づきやひらめきが与えられれば、顧客は感動体験を得ます。感動体験は購買行動を喚起するもので、商談の場で顧客に必ず起こさなければなりません。

「質問テンプレート」を鍛える

質問力は実践により鍛えられるため、日頃から「良い質問だな」と思ったらメモするなどして自分の中にデータベースを蓄積しましょう。その上で顧客に以下4種の質問をおこなってください。

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「心理的完了」に注意

先の段落で形成した、「不安解消のために顧客に与えるべき安心」とは異なりますが、問題解決してしまうことによる「心理的完了」には注意しましょう。

問題解決に向けたセールスパーソンの話などで顧客がある程度満足してしまうと、商品・サービスの説明に移る前に、「満足による話の打ち切り」が発生してしまう可能性があります。

心理的完了を起こさないためには、「完全にすべてを明かさない」といった未完了状態をキープする商談の進め方や、顧客に購買行動やリピートを引き起こす「感動体験」を与えることが必要となります。

「感動体験」とは顧客にとっての気づきやひらめきのことです。例えばこれまで気づかなかったが「それ」を実行すれば解決不可能だった悩みが即座に解決できるかも知れない、といった内容を提示することです。「それ」にはもちろんあなたの商品・サービスが入ります。

質問攻めにならないように注意!

成約のためには、感動体験が必要。そして顧客の感動を引き起こすために、質問が大切であることがわかりました。

しかし顧客の脳内で質問を受け入れる準備がないまま、闇雲に質問することは避けたいところ。

理由は、質問の意図がわからないまま相手から立て続けに質問されても、単にストレス化してしまったり、どうしてこんな質問をされているのかと場に疑いを持ってしまうためです。

こういったケースでは質問ではなく詰問となってしまっている場合が多いです。顧客は心理的抵抗を起こし、質問に答えるという行為そのものがストレスとなってしまいます。

このため質問される側、つまり顧客にとっては質問に答える準備をするためのレディネスと呼ばれる心理状況が必要となります。そこで質問者であるセールスパーソンはレディネス形成をおこなってから質問に臨まなければなりません。

レディネス形成のためには、その質問の意図をセットで投げかけましょう。例えば「〇〇さん、今から専門家の立場としてフィードバックをさせていただきたいと思いますがよろしいでしょうか?」といった形です。

質問の意図というワンクッションにより顧客は「今から質問を受けるんだな」「今から自分の現状を話さなければならないんだな」と、質問の受け入れ準備ができるようになります。

<オンライン商談中のコツ4>:価格を伝える前に見込み顧客の断る理由に対してすべてYESをもらおう!

オンライン/対面にかかわらず、商談では顧客に対して価格を伝えなければ商品・サービスの購入に至ることはありません。

しかしお断り理由として一番多い内容は「価格」についてです。

価格がお断り理由になるのは、断る理由として簡単に挙げやすいためです。

商談を成約につなげるための重要なポイントとは「価格を伝える前に、価格以外のお断り理由全てを徹底的に対処しておく」ということです。

つまり、価格以外の不安点・質問事項すべてに対して顧客の「Yes」を得ておくということになります。価格以外のお断り理由がなくなれば、商談で必要なことは価格に対してのお断り文句への対応だけになり、成約につながりやすくなるのです。

<オンライン商談中のコツ5>:テストクロージングは必ず行おう!

商談で顧客に価格を伝えるまでの段階では、顧客から「Yes」を積み重ねておきましょう。価格以外の条件について顧客の「Yes」が得られている状態とは、顧客との心理的合意が形成されていることを意味します。

人間は、自ら「Yes」と言ったことに対して、後から「No」と言いにくくなります。これは認知的不協和という心的状態であり、テストクロージングの段階で重要な考え方です。

顧客のYesが十分に得られた状態になったと判断できれば、テストクロージングへ移行します。

テストクロージングでは、「では〇〇さん、ここまで聞いてみて、このプログラムやってみたいと思われますか?」という質問の仕方が有効です。

この段階で「やってみたい」の言葉を顧客から引き出せれば、「ありがとうございます、ここまでにご不満な点やご不明点はございますか?」と続けて聞きましょう。このワンクッションを入れるだけで、価格を伝える前の段階における不安点・不明点を全て受け止めることができるのです。

この部分はセールスパーソンが取り扱う商品・サービスごとに適した言い方をトークスクリプトに落とし込んでおくと良いでしょう。

<オンライン商談中のコツ6>:価格で断られないように相場観や期待値などをコントロールしよう!

顧客の購買意欲は「相場観」や「事前期待値」に左右されます。このため、相場観や期待値をコントロールする技術がセールスパーソンには求められます。

相場観のコントロール

相場観とは、顧客の持っている感覚のうち「あなたの商品やサービスを何かと比較する」ものを指します。

例えば500mlペットボトルの水が300円だったら買いませんが、中身が水素水であると判明したら買う方がいるかもしれません。この時、「同じ水でも水素水の方が価格が高い」という相場観が働いています。

相場観をコントロールするにはこの「顧客に何と比較対象してほしいか」のコントロールが必要になります。

例えば税理士が「顧問税理士として雇って欲しい」と言ってしまえば「税理士との顧問契約」という相場観で値踏みされてしまいます。しかし「CFO(社外財務責任者)の能力を持つ私を、新卒の1/2以下で雇える権利を得られるとしたらいかがですか」と聞くことで比較対象が大きく変わります。

事前期待値のコントロール

他、価格で断られないようにするためには、事前期待値のコントロールも必要です。業種により適切な方法が異なる場合も多いため、応用力が求められる技術になります。

事前期待値をコントロールするための「アンカリング」という方法をご紹介します。

アンカリングとは、商談やセミナー本番よりも前のプレセールス段階から、自分の商品・サービスの平均単価を資料等に組み込んで顧客に伝えておくことです。

例えば「専門コンサルに依頼すれば数百万単位の費用が発生するが、弊社であれば数十万円~」というような内容をステップメールや配布資料に記載しておくといった方法が挙げられます。

アンカリングが適切に設定できていれば、顧客の中に価格を受け止めるための心理的な事前準備が形成できるようになり、価格を抵抗なく受け入れられるようになります。顧客の事前期待値を自分側の相場観に近づけるというマネジメントが実現できた状態です。

<オンライン商談後のコツ1>:お礼のメールはすぐに送ろう!

オンライン商談が終わったら、次は「商談後」のステップに移りましょう。

まずオンライン商談が終わった後にすべきことはフォローアップ、つまりお礼のメールです。当日すぐにでも、もしくは翌日までには確実に「本日は貴重なお時間をいただき……」「当社の説明でご不明点は……」「先日ご紹介した内容ですが、ご検討いただけたでしょうか……」など必要な内容を送りましょう。

お礼メールの効果はあなたの印象をより良くすること、商品購入の検討をより促せることなどです。

また、商談中に資料提供の約束などをしていませんでしたか?その場合もできるだけ早く商談の議事録やプレゼン資料を添付したお礼メールを送信しておくと、顧客にとっても商談内容が振り返りやすくなります。共有可能であればお渡しすると良いでしょう。

顧客企業内であなたの商材を比較検討等する際、資料として利用してもらえるため、あなたへの好感につながる可能性もあります。

<オンライン商談後のコツ2>:断られた失注客には3ヶ月以内に「最近いかがですか?」とフォローをしよう!

無事商談を終え、メールなどでその後のケアを図ったにもかかわらず一旦「失注」となってしまうこともあるでしょう。その場合もアフターフォローの手を止めないようにしてください。

まずは失注について検討して頂いたことに対するお礼を述べましょう。そして一度案件が終わりを迎えたということを、双方がきちんと認識するために、相手が断ったことに対するこちらの「承知」を伝えます。

付け加えるのであれば、相手のお断りを残念に思っているという心境であること、相手の期待に添えなかったことを反省していると表明するといった内容が考えられます。

そして将来的には、今回の相手とまたなにか別件で関わり合うかも知れません。その時のために、前向きな結び方で商談後のフォローを締めくくりましょう。今後の可能性がゼロではないと捉えていると表明することが重要です。その意向をポジティブに伝えられたのであれば、あなたの印象は非常に良くなり、相手の記憶に残ることとなるでしょう。

失注顧客を休眠顧客にしてしまわないため、また新規開拓のコストを下げるためにも、失注後でも3ヶ月以内に「最近はいかがですか?」といったフォローをしましょう。以前は相手に刺さらなかった部分を補うことができれば、再び見込み客となってくれる可能性が生まれます。

失注先へのフォローはメールでも良いですが、手書きメッセージなどで担当者の熱い感情を見せるためにFAXを活用するという手段もあります。メールマガジンの発行とセールスオートメーションを組み合わせ、自動生成したリストの中からアクティブ顧客を掘り起こすといったフォロー方法の自動化も検討しましょう。

オンライン商談と対面商談は全く別モノとして、取り組もう!

オンライン商談に必要なノウハウは、対面商談とは全くの別物であることがご理解いただけたと思います。

今回紹介した13のコツは、今すぐにでも実践できるものです。

例えばいま現在このページを読んでくださっているということは「商談中」ではないはず。もしそうなら、「商談前」「商談後」の各セクションの内容を実践してみてください。

具体的には、もうあなたひとりでも以下のような行動が取れるはずです。

もしあなたが商談前であり、休憩時間に本記事を読んでくださっているなら、近くの家電量販店に足を伸ばすことはできませんか?家電量販店なら、商談での意思疎通しやすさに貢献する指向性マイクを買うことができます。あるいは本番当日に間に合うのであればネット注文してしまってもいいでしょう。

同様に、まだ商談当日まで時間があり、もしあなたが相手企業の業界研究をしていないのであればさっそく情報を集めるべきです。もしそこで初めて得られた知識があったのであれば、当然疑問も生まれてくることでしょう。
そんな場合は商談相手に事前ヒアリングを実施してみてはいかがでしょうか。アポイントが取れたということは相手は何らかの悩みを抱えているはずです。あなたが得た知識で相手企業について深堀りできれば、相手のニーズがより顕在化するかもしれません。

機材の調達や事前アンケート等によるトークスクリプト形成が完了したのであれば、事前準備として本番のリハーサルを同僚に依頼してみてはいかがでしょう。トークスクリプトの内容に無理がないか、時間調整のバランスが適切かなど判明すると同時に、機材のチェックもできます。

重要なのはやるかやらないかです。ぜひこのオンライン商談のノウハウを実行に移し、苦手意識とお別れしましょう。

読者のみなさんが胸を張って「オンライン商談が得意です」と言えるセールスパーソンとなれますように応援しております。