商談を行う上でアイスブレイクは非常に重要なプロセスであると言われています。挨拶を済ませていきなり商品の説明をされてもお客様はこちらが提案する商品やサービスを購入してくれません。
なぜならお客様は、関係性を構築出来ていない相手に対して自身の本音を打ち明けようとは思えないからです。
商談を行う上で相手の本音を聞き出すことはとても重要ですので、商談をするにあたってはお客様と信頼関係を構築するアイスブレイクが最も大事であると言えます。
そこで、この記事では、商談を円滑に進めるためのアイスブレイクのコツについて解説していきます。
商談前のアイスブレイクの効果とは?
商談を行うにあたって、商品を提案される側は緊張していることが多いです。
例えば、『変な商品を売り込まれないか』や『高圧的な態度で言いくるめられないか』など様々な不安を抱えています。
そんな時に必要なのがアイスブレイクです。具体的な効果としては3点挙げられます。
①相手の警戒心を解くことが出来る
アイスブレイクには相手の警戒心を解くことが出来る効果があります。
商品を提案される側は基本的に緊張していると同時に警戒心を抱いています。
なぜならお金を払って商品を購入するか検討するので、お金を出してもらうために説得してくる相手に対して警戒心を抱くのは当然です。
しかしアイスブレイクを上手く行えば親近感を抱いてもらうことが出来るので警戒心を解くことが出来ます。
このようにアイスブレイクを行うことで、相手の警戒心を解くことが出来るという効果があります。
②本音を引き出しやすくなる
本音を引き出すためにもアイスブレイクが大事です。
商談において本音を引き出すことが出来たら、相手がどういった部分に不安を抱いているかなどを明確に教えてくれます。
どういったところに不安を抱いているか教えてもらえたら、それに対するソリューションをまた提案することも出来ます。
こういった具合に、本音を引き出すことが出来たら商談がスムーズに進むことが出来るので、本音を引き出すためのアイスブレイクは大事であると言えます。
③商談に主体的になってもらえる
上手くアイスブレイクを行うことが出来たら、相手は商談に主体的になってくれます。
聞く体制が整っていなかったらいくら魅力的な商品やサービスの説明をしても耳に入ってきません。
「この人だったら話を聞いてもいいかな」と思ってもらえるようになるためには話をしていて楽しいと思ってもらう必要があります。
話してて楽しいと思ってもらえたら会話に対して主体的になってもらえるようになります。
こういった具合に主体性を持って話に参加してもらう状態に持っていくためにもアイスブレイクが大事であると言えます。
アイスブレイクの内容は顧客によって変えるのがポイント!
アイスブレイクの効果は分かっていただけたと思いますが、必ずアイスブレイクを行うべきとは一概に言えません。
例えば、すでに商品について高い関心を抱いていたりする場合は、早く商品の話を聞きたいという顧客も存在します。
こういった方に対してずっと長いアイスブレイクを行っていたらむしろ気分が冷めてしまう可能性もあります。
このように、アイスブレイクを行うにあたっては相手の表情や場の空気を読みながら行う必要があります。
アイスブレイクを長くするか短くするかなど、様々なことを考えながらアイスブレイクの内容を変えていくことが重要です。
アイスブレイクにオススメの話題とは?
アイスブレイクは大事とはいってもどんな話題でもしていいという訳ではありません。
話してはいけない話題や、むしろ進んで行うべき話題もあったるするので、ここではアイスブレイクのオススメの話題を例を交えながら紹介します。
相手の状況などを見ながら適切なアイスブレイクの話題を選んでください。
木戸に立てかけし衣食住
「木戸に立てかけし衣食住」という言葉をご存じでしょうか?
こちらは、アイスブレイクに使われる定番の話題の頭文字を取ったものになります。
具体的には以下のものになります。
キ:季節や気候に関する話題 | 『最近寒くなってきましたよねぇ。お身体の方は大丈夫ですか?』 『この季節はどこかに出掛けられたりするんですか?』 |
ド:道楽や趣味に関する話題 | 『スタイルいいからサッカーとかやってそうですね。スポーツは何かされてたんですか?』 『筋肉質で男らしい感じがするので、格闘技とかやってたりするんですか?』 |
ニ:ニュースに関する話題 | 『最近◯◯がすごい流行ってますよねぇ。すでにされてたりしますか?』 『先日◯◯のニュースを見たんですが、ご存じですか?』 |
タ:旅に関する話題 | 『もうすぐお盆休みですが、どこか旅行に行かれたりするんですか?』 『昔〇〇という国に行ってすごく楽しかったのですが、海外旅行など行かれたりしますか?』 |
テ:天気に関する話題 | 『すごい晴れてますよねぇ。こういった日はBBQとか行きたくなりますが、BBQはお好きですか?』 『雨すごいですよねぇ。雨に濡れませんでしたか?』 |
カ:家族に関する話題 | 『私はまだ独身ですが、家庭を持ってらっしゃるって羨ましいです。』 『子供さんはおいくつなんですか?』 |
ケ:健康に関する話題 | 『〇〇さんは若々しく感じますが、健康の秘訣とかあるんですか?』 『最近健康のために運動を始めたのですが、〇〇さんは何か運動とかされてますか?』 |
シ:仕事に関する話題 | 『すごく生き生きとしてるので、お仕事の方が順調なんですか?』 『最近新たに出たパソコンを新調しようか剣闘しているのですが御社ではどうですか?』 |
衣:相手が着用している衣類に関する話題 | 『すごくかっこいいスーツですが、どちらで買われたんですか?』 『ネクタイすごくおしゃれですね。ご自分で選ばれたんですか?』 |
食:好きな食べ物などの話題 | 『私すごくラーメンが好きなのですが、ラーメンとか食べられますか?』 『この辺りでオススメのご飯屋さんなどあったりしますか?』 |
住:出身地や居住地などに関する話題 | 『〇〇さんすごく面白いのですが、ご出身は関西ですか?』 『〇〇さんが住んでらっしゃる所でしたら〇〇とか有名ですよね。よく行かれるんですか?』 |
こちらはアイスブレイクにを行うにあたって非常によく使われる話題です。
引き出しにしまっておくと、話題に詰まった時などに活用出来るのでぜひ覚えておいてください。
顧客の業界についての時事ネタ
顧客の業界についての話題を出すのは有効であると言えます。
なぜなら顧客の業界の話題をしている時に相手が自社で抱えてるいる課題点や問題点を打ち明けてくれるかもしれないからです。
商談相手の会社の課題点や問題点を聞き出すことができれば、それに見合った商品やサービスをスムーズに提案することが出来ます。
こういった理由から顧客の業界についての時事ネタはアイスブレイクで行うべきだと言えます。
地域についてのネタ
地域についてのネタをアイスブレイクで持ち込むのも有効であると言えます。
例えば相手と出身地や居住地が一緒だった場合、同じ地域のお店などについて話を盛り上げることもできます。
自分の地域であれば相手も身近なものなので話題に参加しやすいです。
また、出身地や居住地が異なった場合でも、相手の居住地にある有名スポットや商談相手のオススメのスポットなどで話を盛り上げることが出来ます。
つまり地域についてのネタは最も無難に話題を広げることが出来るアイスブレイクであると言えます。
時事ネタ(宗教や政治、芸能ネタは避ける)
時事ネタも有効であると言えます。
誰もが知っているような話題であれば簡単に共通の話題を話すことが出来ます。
例えばコロナといったみんなが関心のある時事ネタであれば話を広げやすいです。
こういった時事ネタは共通の話題として作りやすいので、時事ネタはアイスブレイクに有効であると言えます。
しかし宗教や政治、芸能ネタはやめておいた方が無難です。
特に宗教や政治は、意見が分かれやすい上に、人によっては身を粉にして宗教活動や政治活動を行っている人もいます。
そういった方達に対して万が一意見が対立するような発言をしてしまったら不快な思いをさせてしまうことになりかねません。
時事ネタは共通点を見つけやすいというメリットもありますが、タブーな話題を扱ってしますリスクもあります。時事ネタを扱ったアイスブレイクを行う時は慎重に行うべきであると言えます。
商談場所までの道のりや商談場所について
商談場所もアイスブレイクにおいて大事なポイントになります。
具体的にはカフェやホテルのラウンジなどの落ち着いた場所で行うのが良いとされています。
理由としてはカフェやホテルのラウンジは基本的に静かで落ち着いているので相手に不快感を与えることがありません。
また、商談が行われる30分前には着いておいて、具体的な店名などを商談相手に送るようにしましょう。
こういった、商談場所に来てもらうまでの過程を考える事や、相手が心地いいと思ってもらえるような商談場所の選び方も、アイスブレイクの一環であると言えます。
相手を褒めるネタ
相手を褒めることも有効なアイスブレイクであると言えます。
褒められて悪い気をする人間はいませんし、心を開いてもらうきっかけにもなります。
しかし見当違いな褒め方をされたら相手は、むしろ貶されてると感じたり、逆効果になることもあります。
相手を不快にさせずに褒めるポイントは、ざっくりとした褒め方をするのではなく、具体的に褒めるということです。
例えば、『おしゃれですね』などざっくりとした褒め方をするよりも『高そうなスーツを着こなしていて、おしゃれですね』など具体性を持って褒めた方が信憑性も増すので、より効果的な褒め方になると言えます。
相手との共通点に関するネタ
相手との共通点に関するネタを深掘りすることもアイスブレイクにおいて重要なポイントになります。人は共通点を持った相手に対して心を開きやすいです。『類似性の法則』という言葉もあるくらいなので共通点を探すことに意識を向けることは有効なアイスブレイクであると言えます。
例えば、旅行が趣味であるということが同じであれば、旅行の話題を深掘りしていくべきです。
共通の話題をしていると、相手も自分に対して親近感を抱いてくれます。
アイスブレイクをしているときは相手との共通点を探すという部分に意識を向けていきましょう。
アイスブレイクに避けるべき話題とは?
アイスブレイクで避けるべき話題は、以下の3つになります。
①政治
政治の話題は避けるのが無難です。
政治というのは人によって意見が賛否両論分かれやすい部分ですし、人によって支持している党が違ったりします。
万が一商談相手の生活を支えてくれている政党の不満点などを述べてしまったりしたら相手は不快感を覚えます。
政治に関する話題をアイスブレイクに持ってこない方が無難であると言えます。
②宗教
宗教ネタをアイスブレイクに持って行かない方がいいです。
日本人は基本的に無宗教の人が多いので実感が湧きづらいですが、家族ぐるみで宗教に入信している人もいます。
そういった人たちに対して万が一宗教を軽はずむような発言をしてしまうと、自分達のアイデンティティを否定されたと感じられかねません。
宗教ネタをアイスブレイクに持って行かない方が無難であると言えます。
③恋愛
恋愛ネタも人によってはアイスブレイクに適しません。
異性間であればセクハラとして捉えられかねないので尚更NGです。
また同性であったとしても恋愛に対してナイーブな時期があったりするので恋愛の話はしない方が無難であると言えます。
また、相手が異性のことが好きであるとも限らず、LGBTの人も存在します。
そういった方達に対して、異性と交際するものであるという前提で恋愛の話題を振ってしまうと微妙な空気になりかねません。
恋愛の話もアイスブレイクに持って行かない方が無難であると言えます。
アイスブレイクは5~10分程度が適当だが、時間がない場合は一言・二言でもOK!
アイスブレイクの時間は大体5〜10分程が適当であると言えます。
相手も暇ではないので、そんなに長く時間を掛けて行う必要はありません。
また、相手によってはこの後にスケジュールがあったりして、時間がないといった場合もあります。
そういった方に対して5分~10分掛けてアイスブレイクをしていてはむしろ早く話を進めてほしいと思われて不快にさせてしまいかねません。
こういった方には一言二言のアイスブレイクで済ませ、早めに商談の内容を伝えましょう。
こういった具合に相手のスケジュールなどに合わせてアイスブレイクの内容を変更していくことが求められます。
アイスブレイクを臨機応変に活用し、商談を円滑に進めよう!
ここまで述べたように、アイスブレイクは相手の心を解きほぐすためにとても重要なプロセスであると言えます。
アイスブレイクを行う上では、相手のスケジュールや相手の関心のある話題などをきっちり理解して、臨機応変に対応していく必要があります。
商談においては相手の状況を見る目が試されるので、ここまで述べたような様々なアイスブレイクのテクニックを用いて、商談を円滑に進めていただけたらと思います。