あなたは「なぜあの営業マンは値引き交渉されないのだろうか?」と疑問に思ったことはありませんか?
この記事では、「値引き交渉を避けたい」「値引き交渉を避けるための方法やコツはないだろうか」と悩んでいる営業マンのために、トップ営業マンが行っている5つのコツについてご紹介します。
そもそもお客様はどういう時に値引き交渉をしてくるの?
まず、そもそもお客様はどういうときに、どういう理由で値引き交渉をしてくるのでしょうか?
この記事の本題である「値引き交渉をされないためにはどうすれば良いのか」を考える前に、「お客様がどういう心理で値引き交渉をしてくるのか」についてご説明します。
細かく挙げるともっとたくさんあるかもしれませんが、大きくは次の3つになると考えられます。
ケース1:商品・サービスには魅力を感じているができればより安く契約したい時
1つ目のケースは、商品やサービスには十分魅力を感じており、予算も足りているのですが、できればより安く契約したいと考えているときです。
お客様の態度からはあまり深刻な様子は感じられず、どちらかというと「もう少し安くならないかなあ」とか「少し値引きしてくれると契約しても良いんだけど」というような口調で話をされることが多いようです。
このような場合は、商品やサービスの価値についてはきちんと認識していただいているわけですし、予算的にも問題ないわけですから、基本的なスタンスとしては「値引きしない」ことでしょう。
ただし、お客様の顔を立てるという意味から僅かですが値引きをしても良いかもしれません。
ケース2:予算が足りないが安くなれば契約したい時
2つ目のケースも、商品やサービスには十分魅力を感じているのですが、予算が足りないため今すぐに契約することができないというときです。
お客様としては、社内的に予算の増額ができないかと思案しつつも、もし値引きをしてもらえたら契約できるため、営業マンに頼んでいるというような状況です。
このケースの場合は、お客様の態度からは比較的深刻な様子が感じられます。
もし、お客様から「予算が足りないので契約できない」という話があった場合は、予算が増額できる可能性について確認したうえで、どうしても難しいのであれば値引きの検討をしましょう。
今回値引きすることによって、営業マンはお客様に対して「貸しを作った」ということになりますし、お客様の方でも「借りを作った」と意識しているはずですから、次回の商談においては気分的には優位にたって交渉できるようになるはずです。
ケース3:商品・サービスの価値が価格よりも低いと感じた時
3つ目のケースは、予算は足りていますが、商品やサービスの価値がお客様の考えているレベルに達しておらず、契約金額よりも低いと判断された場合です。
このケースでは、商品やサービスの価値がお客様に十分伝わっていないため価値が低いと判断された場合と、お客様がその商品やサービスを必要としていない場合の2つの可能性が考えられます。
商品やサービスの価値がお客様に十分伝わっていないため価値が低いと判断された場合であれば、再度商品やサービスの価値や魅力、有効性を説明する機会を設けてもらい、その商品やサービスの本当の価値を正しく伝える必要があります。
また、後者のように価値や魅力を感じてもらえない場合は、お客様のニーズやお困りごとに関して再度ヒアリングをして、真に必要としている商品やサービスが何なのかを改めて検討してみることが必要でしょう。
いずれの場合も無理に値引きをして契約できたとしても、後々何らかの問題が発生するなどの可能性があります。
値引き交渉をされないためには、いかに価格に見合った価値があることを伝えられるかが重要!
上記の3つのケースを踏まえて考えてみると、お客様から値引きの申し出がある場合というのは、「自社の商品やサービスに価格に見合った価値のあること」が十分に伝わっていないからだという可能性が考えられます。
このことから分かるのは、営業活動や商談を通じて、いかに「価格に見合った価値のある商品やサービスであること」をきちんと伝えることができるかが重要であるということです。
営業マンは、お客様が抱えている課題やニーズをきちんとヒアリングして、それを解決するための商品やサービスの提案を行うことが基本ですが、その商品やサービスの価値についても正しく認識してもらうようにする必要があります。
値引き交渉にならないためにトップ営業マンが行っている5つのコツ!
次に、お客様からの値引き交渉に応じて値引きをしてしまった場合を考えてみます。
値引きを行った結果として、「自社の利益が確保できない」「値引きの前例を作ってしまい次回以降も値引きが避けられなくなる」「正当な価格で契約した他のお客様の信頼を損ねる」など、自社の営業部門としての大きなデメリットが生じることになります。
しかし営業マンとしては、お客様から値引き交渉があった場合、それを無下に断ったり無視したりということはできませんので、一番望ましいのは値引き交渉にならないような状況を作ることです。
そこで、値引き交渉にならないためにトップ営業マンと言われる人たちが行っている5つのコツについてご紹介しましょう。
コツ1:解決策よりも先に課題を提案する
1つ目のコツは、解決策よりも先に課題を提案するということです。
「課題を提案する」というのは、お客様の「理想と現実との間にあるギャップ」を埋めるためには「こうしなければならない」と提案することです。
このときに、「自社の商品やサービス」を提案するのではなく「やらなければならないこと」を提案することがポイントです。
そして、理想の姿になったときに、お客様にどのようなメリットがもたらされるのかについても言及するとなお良いでしょう。
そうして、お客様に「多少費用はかかっても、早く理想の姿にしなければならない」と思ってもらえるようになれば、その時点で理想の姿にするための手段として「自社の商品やサービス」の提案をします。
お客様は、早く実現したいという気になっていますから、値引きなしで成約できるでしょう。
コツ2:商品・サービスを導入した後の波及効果を伝える
2つ目のコツは、商品やサービスを導入した後の波及効果を伝えることです。
「商品やサービスを導入すること」によって、「理想と現実の間のギャップ」を埋めるだけでなく、それ以上の波及効果が生まれることを伝えましょう。
例えば、「理想以上の効果が得られる」ことや、お客様の企業内で「横展開ができてその効果を社内全体で得ることができる」というようなことです。
これによって、お客様の商品やサービスに対する期待値を高めることができれば、値引きなしで成約できるでしょう。
コツ3:商品・サービスの価格の伝え方を工夫する
3つ目のコツは、商品やサービスの価格の伝え方を工夫するということです。
例えば、「もし導入いただく場合、この程度の価格であればご検討いただけますか?」というように、「もし導入するなら」という前提での話として聞いてみる方法があります。
また、「正式な金額はきちんと積算してご提示しますが、概算ではこれくらいの金額になりそうです」という概算金額を提示してみる方法もあります。
提案している商品やサービスに対するお客様の予算感を確かめる意味でも、最初から正式な価格を伝えるよりは、ワンクッションおいた形で伝える方が良いでしょう。
コツ4:ネガティブな反応が返ってきたら別の観点からアプローチする
4つ目のコツは、価格を提示したときにネガティブな反応が返ってきたら別の観点からアプローチするということです。
商談の最終局面になって価格を提示したときに、お客様から「ちょっと高いなあ」などというネガティブな反応が返ってきた場合は、「そうですよね」と肯定して「参考までにお伺いしてよかったです」というように価格の話は終わらせましょう。
その後は、「話は戻りますが」「話は変わりますが」などと言って、価格以外の話に持っていくようにしましょう。
例えば、その商品やサービスを導入することによるメリットなどの話題に話を変えて別の観点からアプローチするようにしましょう。
コツ5:選択肢を事前にまとめて提示する
5つ目のコツは、価格を提示する前に選択肢をまとめて提示するということです。
人間の心理として、「主導権は自分のものにしておきたい」「自分で選んで決めたい」という欲求がありますので、複数の選択肢を提示されると「自分に主導権がある」と感じてもらいやすくなります。
また、納得できる買い物をするためにいろいろなものと比較したいという気持ちもありますので、たくさんの選択肢の中から選ぶ立場になると優位性を感じやすくなりなります。
そしてこのような状態で、お客様自身が選択した商品やサービスに対する価格には納得してしまうということになるのです。
逆に言うと、もし提案する商品やサービスが1つしかないような場合は、お客様は強引な売り込みだと感じてしまう恐れもありますので、本命の提案の他に比較対象となるような複数の案を用意しておくことが必要でしょう。
それでも値引き交渉になってしまう!そんな時に意識したい3つのこと
前項では、値引き交渉にならないために、トップ営業マンが行っている5つのコツについてご紹介しましたが、それでも値引き交渉になってしまうことはあります。
そんなときにどうしたら良いのか、そうなったときに意識していただきたい3つのことをご紹介します。
その1:その場の勢いで値引きを承諾しない
1つ目は、その場の勢いで値引きを承諾してはいけないということです。
お客様から値引き交渉を受けた場合は、その場では「持ち帰って検討させていただきます」などと伝えて、辞去するようにしましょう。
帰社後、上司と相談して対応方法を検討することになりますが、お客様が値引き交渉をしてきた理由が何かを見極めた上で決める必要があります。
この記事の冒頭で、お客様がなぜ値引き交渉をしてくるのかの理由を紹介しましたが、そのどれに該当するのかを見極めて、理由に応じて対応することにしましょう。
商品やサービスには十分魅力を感じており予算も足りている場合 | 基本的には値引きには応じないスタンスで進めるが、お客様の顔を立てるという意味では値引きも視野に入れる |
商品やサービスには十分魅力を感じているが予算が足りない場合 | まずは予算増額の可能性について確認。予算増額が難しい場合は値引きを検討。 |
予算は足りているが商品やサービスの価値がお客様に伝わっていない場合 | 改めて商品やサービスについて説明する機会を作る。 |
予算は足りているが商品やサービスがお客様に合っていない | お客さまのニーズを再度ヒアリングするところから再スタートする。 |
その2:値引き交渉に前向きな姿勢を見せる
2つ目は、値引き交渉に前向きな姿勢を見せておくことです。
間違っても絶対に言ってはいけないことは「値引きには応じられません」という言葉です。
お客様は営業マンの「誠意を見たい」と考えているという一面もありますので、誠意を見せる表現として、「前向きに検討してみます」や「会社に掛け合ってきます」などとお客様の味方になるような姿勢を見せましょう。
もし、値引きができないことが分かっていたとしても、必ず持ち帰り検討するという態度を示しておきましょう。
また、逆に多少の値引きの余地があることが分かっていたとしても、即答することは避けましょう。
即答すると、まださらに値引きの余地があると勘ぐられてしまうからです。
その後、帰社して上司と相談して対応を検討しますが、対応方法としては2つあります。
一つは値引きができなかったと言って「力不足で申し訳ありません」などと素直に謝罪する方法、もう一つは多少なりとも値引きに応じる方法です。
どちらが良いかはケースバイケースですので、その商品やサービスの利益率、お客様との関係などを考慮して決めることになります。
その3:値引きの最低ラインを確認しておく
3つ目は、値引きの最低ラインをきちんと確認しておくということです。
その1、その2でも説明しましたが、値引き交渉に応じて実際に値引きするかどうかはケースバイケースですし、営業マンが一人で決めることではなく上司なども含めて会社としてどう対応するかを決めることです。
お客様との関係や、業界におけるそのお客様の影響度などを考えて値引きに応じるという場合もあると思いますが、その場合でも「値引きの最低ライン」は守るようにしましょう。
いわゆる「原価割れ」で契約してしまうと、自社の利益がなくなることになってしまいます。
価格に見合った価値が伝わらない営業は値引き交渉されやすい!まずはニーズを汲み取って解決策(商品・サービス)を提案しよう!
この記事では、お客様が値引き交渉をしてくる理由や値引き交渉をされないための5つのコツ、それでも値引き交渉になってしまったときに意識したい3つのこと、などについて説明しました。
商談においては、自社の商品やサービスの価値がきちんと伝わっているのかを確認した上で価格を提示することが重要となります。
お客様に価格に見合った価値がないと判断されれば、当然値引きを要求されるか、購入しないということになってしまいます。
そうならないためには、営業マンはまずはお客様が抱えている課題やニーズをきちんとヒアリングして、それを解決できる提案を行うという基本が大切です。