【営業をやめたい人必見】やめたい理由とその解決方法を徹底解説

営業職はつらく、厳しいと評価されることが多いイメージの職種です。

やめたくなったら転職すればいいと考えることもできますが、視点を変えることで自分を活かす意外な方法が見つかるかも知れません。

そこで今回は営業をやめたくなる理由について紹介し、そんな場合にどうすればいいかという対策についても解説します。

すぐに真似できる方法なので、ぜひ取り組んでみてください。

また本当にきつくなったときのために、退職時のノウハウなどについても紹介します。

【監修者】 小沼 勢矢

【監修者】 小沼 勢矢

一般社団法人プロセールス協会 代表理事
中小企業サポートネットワーク「スモールサン」YOKOHAMAプロデューサー

脳科学の権威である石川大雅に師事し、40年間3万人以上の成功者の脳と向き合い確立して来た「実証的脳科学」を提供するプロ・アライブ社を承継。2代目経営者となり組織開発や人材教育の場数を踏み、8年で3,500人以上のクライアントに指導してきた実績を持つ。コロナ禍で営業に課題を抱えるクライアントが増加したことをきっかけに成約率80%を達成するための脳科学を基にしたセールスメソッドを確立。価値あるサービスを世の中に上手く届けられずに困っている事業者様を支援したいという想いから、一般社団法人プロセールス協会を設立。セミナー・コンサルティング・会員サービスなどの提供を行う。

営業をやめたいと考えてしまう7つの理由とは?

それではまず、営業担当の方が自分の職務をやめたいと考える理由について探ってみましょう。

営業職の人が営業を辞めたいと考える代表的な理由が以下の7つになります。

  1. 人と話すことが苦手
  2. ノルマをこなせない
  3. ルーチンワークで拘束時間・疲弊が多くプライベートがない
  4. 会社の売上に直結するという責任感が重い
  5. 組織なので営業手法・考え方を押し付けられる
  6. 自分を殺さなければならない・将来性がない
  7. 辛い理由がたくさんある割に給料が少ない
  8. 女性には特有の悩みがある
  9. 新卒〜3年目だから慣れない、辛くてやめたい

それぞれ詳しく解説いたします。

【理由1】人と話すことが苦手

営業部門では縦横のつながりが必須であり、商談では顧客とのコミュニケーションも避けて通れません。

社内では、良い結果が出なくても次々に新しい案件をパスされ、仕事があることに感謝しながらまた前向きに頑張らなければなりません。

社内での人間関係が良好な場合は救いがありますが、パワハラや営業成績がすぐ比較されるような職場である場合はモチベーションが保てません。

さらに商談で社外に出ると、毎日違う人と顔を合わせることになります。

自分に不手際がなくても、会社で取り扱う商品に問題が生じた場合、せっかく仲良くなった顧客からクレーム対応を求められることもあります。

人と話すことが好きでもなければ、とても営業職は続けられたものではありません。

【理由2】ノルマをこなせない

営業職は、常に数字を追わなければならないことでやめたくなってしまうものです。

自分の行い、ひいては自分という人間の価値を数字で表されているような気分になってしまうと、まるでモノみたいに扱われている気分になってもおかしくありません。

例えば、毎月がんばって数値目標を達成しているのに、月をまたげばまた新たなノルマをゼロからこなさなければならなくなる……といったループが挙げられます。

まるで数字に追われている人生であると感じてしまい、自分の価値判断基準も数字だけになってしまうことに嫌気がさす人も少なくありません。

【理由3】ルーチンワークで拘束時間・疲弊が多くプライベートがない

セールスパーソンには一日のはじめに、すでに自分の行動がすべて決まってしまっている場合があります。

いつも決まった時間に電話をかけ、決まった時間にお昼ごはんを食べ、同じ時間に外出してルート営業……といったルーチンワークが毎日毎日積み重なります。

さらに自分の都合ではなく、顧客の都合で非常に遅い時間まで残業で対応を続けたり、それでも次の日は朝早く出社しなければならないなど、いつしか心が疲弊してもおかしくありません。

上記の対応で休日を返上する羽目になったり、家にはほとんど寝るためだけに帰るなどの状況もありえます。

そのような状態では「この仕事を続けていて大丈夫なんだろうか」と思うことも増えてしまうでしょう。

【理由4】会社の売上に直結するという責任感が重い

営業職は会社が創った商品を売ることが役割であるため、会社の稼ぎを自分が生み出しているとも言えます。

このプレッシャーに押しつぶされると、「絶対に商品を売らなければ」といった感情に襲われてしまいます。

焦って空回りしてしまい、結果が出せなくなることが続くと不安は余計積み重なってしまいます。

年齢を重ねた上で本項のような現象に陥ると、自分のキャリアパスをいかにして描けばいいのかもわからなくなることでしょう。

【理由5】組織なので営業手法・考え方を押し付けられる

組織に属している場合、法人営業が得意でも個人営業を任せられたり、既存顧客への営業が好きだけど新規開拓をしろと命令されることもあり、自分の適正に合っていないのではないかと思ってしまうことがあります。

企業としては、toB(法人)・toC(個人)いずれにも対応できるマルチプレイヤーを育成したい、といった意図があるのかも知れませんが、合わないことをさせられているというスイッチが入ってしまうとなかなか受け入れることは難しくなります。

【理由6】自分を殺さなければならない・将来性がない

【理由3・4】とも重なりますが、顧客のため会社のために尽くさねばならず、「一体、自分というものがどこにあるのか」という気分になってしまいがちなのも営業職の特徴です。

場合によっては、自分は全然良いと思えない、愛着を持てない商品・サービスを売らなければならないこともあるでしょう。

そういった場合、「顧客を騙しているみたいでこのままじゃ悪者だ」「だけど自分が売ることで自社の懐が潤い、他の社員に給与があげられる、だから良いことをしている」といった二律背反に悩まされ、何が正しいのかわからなくなってしまいます。

上記のような状態だと、人がまるでお金に見えてしまう現象も起こりかねません。

また商材が特殊な場合、営業スキルを磨いたとしても視覚のように目に見えるものではないため、他の分野で通用するのかどうかといったことも不安になります。

「こんなことを続けて大丈夫なのか」といった不安はどんな職業でもあり得ることではありますが、営業職だとより顕著となる可能性もあるでしょう。

【理由7】辛い理由がたくさんある割に給料が少ない

ここまで見てきたように、営業をやめたくなる理由は数多くあり、そのどれもが簡単には看過できないものでした。

毎日同じタスクをこなし、月間目標に追われ、いくつもの案件を同時にこなすマルチタスク処理能力が要求され……疲弊した頭で同僚を見た時に、ここまでやっても他の課の人たちと同じ給料なのか、と理不尽に思ってしまうこともあります。

【理由8】女性には特有の悩みがある

女の方ならではの悩みも、営業職にはあります。

出産や子育てのような、人生における大切な場面では一時的にキャリアを中断せざるを得ません。

特に営業職はリモートワークにしづらい業務も発生しやすく、出社する必要こそなくても、顧客の元へ顔を出すなど外出を求められることになります。

インサイドセールスから案件をパスされる際に、オンライン商談の対応OKな案件だけを回してもらうなどギリギリまでの対策ならできるかも知れません。

しかしながら、例えば入院時に病院から商談をするという行為は現実的とは言えません。

また、初期から自分が追客してきた案件がようやく商談へ持ち込めそうだが、オンライン対応がNGとなってしまった場合、担当者を変えなければならず、結果的に非効率的になってしまうことがあるかも知れません。

生き方や働き方の多様性を認め合う考え方「ダイバーシティ」が日本に伝わったのは1990年代以前ですが、人々の間に浸透し、認識され始めたのはごく最近、平成の時代になってからです。

つまり女性が人生の大きなイベントを乗り越え、職場に復帰し、それを受け入れる土壌が社会には未だに浸透していないのが現状です。

過渡期であるとは言えるかも知れませんが、各社が完全に受け入れ体制を整えているかどうかとなるとまだ完全とは言えないでしょう。

【番外編】新卒~3年目だから慣れない、辛くてやめたい

本項では営業職以前に、企業の中で部署に配属されて間もない人がとにかく営業をやめたいと思ってしまう場合について解説します。

新卒入社で営業に配属され、1-2年頑張ってみたけどどうも向いていないと判断することがあるかも知れません。

あるいは、「一つの会社には最低でも3年はいなければならない」といった世間の暗黙の了解に気圧されて、ひどいストレスや鬱々とした気持ちを抱えながら働いている方もいるでしょう。

この場合、次の身の振り方が明確に決まっているのであれば、転職に踏み切っても問題ありません。

昨今では社会情勢も手伝い、1年も経験を積んでいれば面接官の心証を悪くすることはさほどないためです。

あるいは新卒時代であれば、割ととんでもないレベルの失敗をしても許されるため、貴重な失敗できる機会だと捉え、むしろ「『損害賠償を気にせず会社に迷惑をかける』という貴重な経験をしてみよう」と思えれば留まることも手です。

ただ、自責の念にかられやすい方はその限りではありません。

本来、転職は自由に行えるべきであり、職業選択の自由とは憲法で保証された人間の最低限の権利です。

必要に駆られて転職することに本来ためらいや迷いを持たなければならないことなどありません。

しかしながら、社会の中には「新卒は最低でも3年同じ仕事をしてから進退を考えるべき」とか「頻繁に職場を変える人は信用できない」、「すぐに離職した経験がある人は雇いたくない」といった価値観を持っている層がまだ一定数存在してしまっているという事実があります。

そのような価値観をものさしにするような企業と出会ってしまったのであれば、すぐに縁を切ってしまえば良いと言えます。

しかし、早く次の職を見つけなければといった焦りがある場合、自分が否定されたことでモチベーションの低下を招いてしまうかも知れません。

まずは試してみて!営業をやめたいときの6つの対策方法

営業を続けるか、本当にやめるかという大きな決断をするためには、目の前にある「できること」をとりあえずひとつひとつ試してみることが今後のためにも必要です。

「営業を続けるために取り組んでみたこと」が本当に向いておらず結果も出なければ、それは辞める理由となり、新しい職業を探す上での指針・ヒントともなり得ます。

本章からは、営業をやめたいと思ったときの対策方法や解決方法について解説します。

【対策法1】ノルマや目標を逆算して行動計画を立てる

ノルマや目標が与えられてしまっている場合は、どうすればそれらを達成できるかを踏まえて以後の行動指針を立てましょう。

計画が立てられれば、後は実行するだけです。

そんなに上手くいかないよ、と思われるかも知れませんが、計画を立てたことで「たたき台」が得られます。

むしろ、適当な計画で目標達成してしまう方が問題とも言えます。

それはたたき台の改善ができない、実力以外の偶然で達成できてしまった例である可能性が高いためです。

達成できなかった場合、「どこがいけなかったのか」をチェックし、改善につなげましょう。

それでもだめだったら、また見直せば良いのです。

このように、営業活動の中でPDCAサイクルを回していけば、自分の軸ができます。

仮に離職することになったとしても、習慣として改善計画を得られたならば、どんな職業でも無駄にならない能力が身についたと言えます。

【対策法2】報連相を徹底して、顧客や同僚とのコミュニケーションを図る

報連相とは、「報告」「連絡」「相談」のことです。

顧客との信頼関係を築く上で、連絡がまめであることは効果的です。

「あまり頻繁に連絡してもガツガツしてると思われるかも……」と感じるかも知れませんが、「全く連絡を取れないどころか、いつ連絡しても捕まらない」というセールスパーソンと、どちらを信頼したいと思えるかと問われれば、間違いなく前者です。

顧客は商談を迎えるに当たって基本的に「これから、わけのわからないものを売りつけられるかも」と非常に不安な状態でいます。

その不安を取り除ける「いつでも質問に答えてくれる相手」に自分がなることについてデメリットはないと言えます。

報連相は社内でも必須です。

何か取り返しのつかない失敗があった場合、いずれ誰かが何らかのフォローを行わねばならないため、原因の可視化や何が起きたのかを早く知るに越したことはありません。

顧客対応と同じで、「全く連絡をよこさなくて、何をしているかわからない同僚」よりも、自らのToDoや顧客対応情報を明らかにしている同僚の方が信用できます。

このように報連相を心がけることで、円滑な社内コミュニケーションも持続・期待できるようになります。

【対策法3】顧客の悩みや課題を自分ごと化する

セールスパーソンが受注するために必要なことは、自社製品の良さをプレゼンすることではありません。

現代であれば、人がわざわざ説明するよりも、コーポレートサイトなどが充実しています。

各サイトでは、最適な商品説明をカタログ形式で閲覧することができます。

商談で商品説明が必要なのであれば、その段階でHPを閲覧してもらえば済みます。

つまりセールスパーソンが何かを売る時には、目の前の顧客の悩みと真摯に向き合い、自分のことのように考え、解決するための手段を模索することに注力すべきであると言えます。

解決策を探る中で、もし自社商品が適していると本当に思えたのであれば提案すべきです。

自社商品が顧客の課題解決に適さないと思うのであれば、提案すべきではありません。

トップセールスの中には、競合他社の商品の性質を深く理解していて、そちらが顧客に適していると判断すればそちらを紹介する人もいるそうです。

このように顧客の目線と同化し、自分ごと化ができないのであれば営業職はあまり向いていないとさえ言えます。

【対策法4】業務内容を変える

営業職は新規・深耕・既存と分かれています。

さらに取扱商品が有形か、サービスのように無形かという区別もあります。

対象顧客も、法人(ToB)か個人(ToC)かという違いがあります。

このように営業といっても、上記どれを組み合わせた業務内容であるかはそれぞれ違うため、適正がどこにあるのかも初めのうちは分かりづらいものです。

もし自分が担当している商材が合わないと感じているのであれば、上記の中で自分が担当したことがない分野への転属を願い出てみることも手段のひとつです。

例えば、テレアポの結果が芳しくないのであれば既存顧客へのフォローなどカスタマーサクセスの部署でアップセルを担当できないかマネージャーに相談する。

効率が悪く激務になってしまい、月次目標も達成できない場合は社内平均残業時間を調査したり、その結果を管理者と話し合い方針について考えてみる、などが挙げられます。

この考え方は転職の際にも有用です。

【対策法5】やめたい理由を書き出してみる

もし営業職をやめたくなったら、やめたい理由を書き出してみるといいでしょう。

文字を書いて考えをアウトプットするということは、アイデアの整理につながるためです。

アウトプットによって思考の堂々巡りが止み、新しい考えが生まれるかも知れません。

あるいは、本当に転職に向けての前向きなToDoリストが可視化されるかも知れません。

「こういう理由でやめたいんだ」というリストは、上司と話し合う場合にも必要です。

人との相談によって、やめたい理由が退職という形以外で実現できるかも知れません。

何よりも、第三者に対して自分の思いを知ってもらうということはそれだけで心の棚卸し、ストレス緩和に繋がります。

【対策法6】営業職を続けるか、やめるか考える時間を持つ

やめたい理由【番外編】でも解説したように、新卒など仕事を始めたての人にとっては、すぐやめてしまうことは経歴に傷をつけかねない行為といえます。

そのために【対策法5】でも紹介したアウトプットで今一度自分の能力を評価してみましょう。

「自分にはどんなスキルが有るのか」「こんなことは好きだけどああいうことは嫌いだから苦手である」、といったことを確認する行為は自己分析です。

自己分析は、営業職を続けるためにも、別の職場で営業職を続けるためにも、さらには全く異なる環境でこれまでに経験したことがない業務を担当する上でも有用です。

上記のように自己分析ができていれば、例えば今の業務を続けながら転職活動を行う上でも役に立ちます。

自分のやりたいこと、できることの芯が可視化できていれば、その分目の前の業務や就業時間外の活動に余力を割けるためです。

自己都合での退職であれば、失業保険の給付が3ヶ月経過後からとなってしまうように、金銭的な計画にもリソースを使わねばなりません。

もちろん心身に異常をきたしている場合であれば、すぐにやめない理由はありません。

本当に今の仕事をやめるなら覚えておきたいこと

もし今の現場を離れると決めた場合、営業職であることを鑑みて、辞めるという意思は早く伝えるに越したことはありません。

ずるずると伝えられなかった場合、月間目標なども踏まえて、他部署が良かれと思い自分の先々のスケジュールをたくさんのアポで埋めてしまう可能性があるためです。

そして辞意を伝える相手の機嫌や忙しくなさそうなタイミングを伺い、できるだけポジティブな理由で伝えましょう。

どうせいなくなる現場であるため、遺恨を残す意味はありません。

相手が納得するなら、真実ばかりを真面目に伝える必要すらないと言えます。

ネガティブな理由を混ぜ込んでしまうと、留意させるための根拠とされてしまう可能性があります。

退職時は以下のステップを意識しておきましょう。

責任者に辞意を伝える(退職希望日の一ヶ月半前)↓就業規則に従い退職届を出す↓責任者の同意があれば、周囲に退職の旨を伝える↓業務引き継ぎ↓有給休暇の消化↓↑備品返却や関係書類のやり取り(離職票、雇用保険被保険者証、年金手帳、源泉徴収票の受け取り忘れに注意)

また上記のステップがうまく行かないと予想される場合は、関係性の悪化など気にせず退職代行サービスなどを利用しましょう。

費用こそかかりますが、自らが会社とのやり取りをせずに済みます。

さらに民法上、企業は社員の退職意思を拒絶することはできません。

近年の退職代行サービスは弁護士の監修を受けている企業が多く、成功率100%を謳っている例が非常に多いです。

営業職はやり方次第で好転させられる!でも本当に合わないと思えば転職も必要!

営業職は実際につらく厳しい業務となることが多く、適正がなければ務まらないこともままあります。

しかしながら、現状を変えるための解決策は様々あります。

ひとつひとつ実践し「これならできる」と思えば続けてみるという選択肢を、本当に向いていないと思えるのであれば潔く離れる、など自分の判断基準をひとつ打ち立ててみてください。

いざ退職となった場合、退職には必要なステップや心構えがあるため、自己の収入を踏まえ、下手なことをして損しないように慎重に済ませましょう。

営業職で失敗したことも、継続しようと取り組んだことも決して無駄にはなりません。

つらくてやめたいと思った気持ちもうまく利用して、今後に活かしましょう。