クロージングで成約率を上げるコツと、押さえておくべき8つのポイント

「クロージング」は、営業プロセスにおいて契約を結ぶことを意味しており、商談の最後の段階で注文が取れるかどうかという営業マンにとっては緊張するフェーズのことです。

しかし、なかなか成約に結びつかないと悩んでいる営業マンも多いといいます。

そこで今回は、クロージングで成約率を上げるために押さえておくべき8つのポイントについて紹介します。

【監修者】 小沼 勢矢

【監修者】 小沼 勢矢

一般社団法人プロセールス協会 代表理事
株式会社プロ・アライブ 代表取締役
中小企業サポートネットワーク「スモールサン」YOKOHAMAプロデューサー

脳科学の権威である石川大雅に師事し、40年間3万人以上の成功者の脳と向き合い確立して来た「実証的脳科学」を提供するプロ・アライブ社を承継。2代目経営者となり組織開発や人材教育の場数を踏み、8年で3,500人以上のクライアントに指導してきた実績を持つ。コロナ禍で営業に課題を抱えるクライアントが増加したことをきっかけに成約率80%を達成するための脳科学を基にしたセールスメソッドを確立。価値あるサービスを世の中に上手く届けられずに困っている事業者様を支援したいという想いから、一般社団法人プロセールス協会を設立。セミナー・コンサルティング・会員サービスなどの提供を行う。

クロージングとは?

英語のクロージング(closing)は、オープニング(opening)の反対語で、「終わり」や「締めくくり」という意味があります。

営業分野でクロージングというと、商談の最終段階において「顧客と契約すること」やその「契約に至るまでの過程」のことを指します。

例えば「クロージングをする」「クロージングを行う」というような言い方をしますが、これは営業マンが顧客に対して「契約してもらえるかどうかの意思を確認する」ことです。

営業プロセスは一般的に次のようになっており、見込み顧客を訪問してヒアリングや提案を行い、価格提示などの商談を行ったあとに成約に移るときに「クロージング」というフェーズがあります。

  • 見込み顧客のリストアップ
  • アプローチ・アポイント獲得
  • 訪問・面談・商談(ヒアリング・提案・プレゼン・価格提示)
  • クロージング(成約・契約締結)

面談や商談の内容は、商品やサービスが何かによって大きく異なっており、初回の訪問の際にクロージングまで行くこともありますし、複数回の面談や商談を経てクロージングに至ることもあります。

基本的に、クロージングはどのようなタイミングで行っても良いのですが、一番良いのは当然ながら顧客の購買意欲が一番高くなっているときです。

しかし、そのタイミングは営業マンが判断しなければなりませんので、万一タイミングを見誤ってクロージングを行うと、顧客から「お断り」をされることになりますので、この「お断り」を恐れてクロージングに苦手意識を持っている営業マンが多いとも言われています。

クロージングを行う目的

このように、クロージングとは顧客に商品やサービスを購入するかどうかの決断をしてもらうことですので、言い方によっては顧客が強引さを感じたり、不快に感じたりすることもあります。

しかし、営業マンの最終的な目的は、自社の商品やサービスを顧客に販売することによって自社の利益を得ることですから、顧客との商談において適切なタイミングにクロージングを行って成約し契約を結ぶということは非常に重要なことです。

ヒアリングや提案などのプロセスにおいて、見込み顧客が自社の製品やサービスに興味を示して購買意欲が高まってきたとしても、営業マンがクロージングを行わなければ成約に至ることはありません。

もし適切なタイミングでクロージングを行わなければ、せっかくの購買意欲が低下してしまったり、他社の商品やサービスに向いてしまったりして、成約の機会を逃してしまうことになってしまいます。

このように、クロージングは営業活動において、最も重要のプロセスだということができます。

成約率を上げるために押さえておくべきクロージングの8つのポイント

クロージングの際に、顧客への気遣いの気持ちを持つことやちょっとしたポイントを押さえておくことによって、結果が変わってきます。

また、購買に関わる顧客心理などを理解しておくと役に立つことが多いでしょう。

ここでは、クロージングの際に成約率を上げるためのポイントやテクニックを8つご紹介しますので、うまく利用して成約率の向上につなげてください。

【1】適切なタイミングでクロージングをする

1つ目のポイントは、適切なタイミングでクロージングをすることです。

前述のように、クロージングに一番適切なタイミングは、顧客の購買意欲が高まったときで、そのタイミングを見極めてクロージングをすることによって成約率が高まります。

一般的に、営業マンが提案した商品やサービスを利用することにより、自社が抱えている課題が解決できるということを理解したときに、顧客の購買意欲が高くなります。

このタイミングを見極めてクロージングをかけますが、そのことがわかりやすいのは、例えば導入後のサポート体制やランニングコストなどについて質問が出たときでしょう。

このような質問が出るということは、実際に購入後の活用方法について詳しく検討をしている証拠だと考えられますので、的確に回答して顧客の不安を解消できたときがクロージングをかけるときです。

もう一つの分かりやすいタイミングは、契約の決定権や決裁権を持つ人物を商談の場に連れてきたときです。

これまでの商談内容がどの程度伝わっているのかを確認した上で、自社の商品やサービスを活用することによって、顧客の課題がどのように解決できるのかについて要領よく説明した上で、クロージングを行いましょう。

【2】テストクロージングを行う

2つ目のポイントは、テストクロージングを行うことです。

「テストクロージング」とは、商談中に相手の興味や認識を確認していくテクニックのことです。

重要なポイントは「はい」「いいえ」の二択で回答できる質問を投げかけていくことです。

商談の話の中で、小さな「はい」という回答を積み重ねていくことによって、最終的に大きな「はい」をつかみ取る可能性が高まる「フット・イン・ザ・ドア(foot in the door)」という心理テクニックの1つです。

顧客が不安に思っている点や理解度を確認したり、質問をしたりすることによって、相手がどの程度興味を持っているのか、契約する気があるのかなどをチェックすることができます。

なお、途中の「はい」が多いほど、成約率は高くなると言われていますので、どのような質問を投げかけるのかがポイントとなります。

【3】BANT条件を確認する

3つ目のポイントは、「BANT条件」を確認することです。

「BANT条件」は「BANT情報」ということもありますが、次の4つの英単語の頭文字を取ったもので、この4つのすべてが揃っていないと成約することができないということを表しています。

  • Budget:製品やサービスを購入するための「予算」
  • Authority:製品やサービスの購入を承認する「決裁権者」
  • Needs:顧客の「ニーズ・必要性」
  • Timeframe:「購入時期」

例えば、顧客が製品やサービスを購入するための予算(Budget)を確保していなければ成約できませんし、商談の相手に決裁権(Authority)がなければ、その商談の相手には購入の判断はできないということになります。

しかし、商談の際に必ずしも決裁権を持った人が出てくるとは限りませんので、その場合は、決済権のある人に商品やサービスの特徴や導入した際のメリットなどを的確に伝えてもらえるように、商談の相手に適切な説明をしておく必要があります。

あるいは分かりやすい説明資料やプレゼンの資料などを渡すことも有効でしょう。

このように、商談の相手にBANT条件が揃っているかどうかを確認しておくことは重要です。

【4】選択肢を明確にする

4つ目のポイントは、顧客が取ることができる選択肢を明確にしてあげることです。

クロージングを行う際には、ただおすすめの商品やプランをすすめるだけではなく、幅広い選択肢を与え、顧客に細かな部分を決めてもらうことも重要です。

人間の心理として「自分で決めたい」「主導権は自分のものにしておきたい」という欲求がありますので、いくつかの選択肢があると「自分に主導権がある」と相手に感じてもらいやすくなります。

また、人間には納得できる買い物をするために、いろいろなものと比較したいという気持ちがありますので、幅広い選択肢の中から選ぶ立場に置かれると優位性を意識して安心して商談に臨めるようになります。

もし、提案する商品やサービスが1つしかない場合は、相手が強引なセールスだと感じて不快な思いをさせる恐れもありますので、売り込みたい案の他に、比較対象となるような複数の案を用意しておくことも必要です。

【5】成約後のことを一緒に考える

5つ目のポイントは、成約後のことを顧客と一緒に考えることです。

契約締結~運用までの今後の流れを説明することによって、顧客に商品やサービスの導入後の運用イメージを持ってもらうことができます。

そうすると、顧客の意識が「契約するかどうか」ではなく「契約後にどう運用し活用していくか」に向くため、無意識に契約前提での話が進むことになります。

また、製品やサービスを導入した後に「どういうサポートを受けることができるのか」ということが気になって不安を覚えていることもあるかもしれません。

このような不安を払拭して、きちんとした導入後のイメージを持ってもらうためにも、契約後のフローを説明しておくことは重要となります。

【6】ゴールデンサイレンスを恐れない

6つ目のポイントは、ゴールデンサイレンスと言われる顧客の沈黙を恐れないことです。

商談で顧客が沈黙してしまうことを怖がる営業マンが多いのですが、沈黙はコミュニケーションの一部ですので恐れる必要はありませんし、このゴールデンサイレンスを邪魔するのは間違いとされています。

ゴールデンサイレンスに入った顧客は、「本当にこの商品を買っても良いものか」と真剣に考えています。

せっかく顧客が商品の検討をしているときに口出しをしてしまうと、顧客の思考を中断させたり混乱させたりして、結論が出しにくくなってしまいます。

このようなときには、「沈黙はチャンス」と考えてじっくりと待つようにしましょう。

そして、相手の状況を見計らって、「いまどのあたりで悩まれていますか?」などと聞いてみるのも良いかもしれません。

【7】ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックを使う

7つ目のポイントは、「ドア・イン・ザ・フェイス(door in the face)」という心理学上のテクニックを使うことです。

人間には、相手に何らかの借りができると、そのままでは気持ちが悪いためその借りを返さなければならないと考える「返報性の心理」を営業に応用したものです。

具体的には、まず最初に「絶対に断られるような高額な条件」を提示し、断られたら最初より金額を下げていって、本命となる条件を提示して成約を得るようにします。

【8】その他の細かいポイントも押さえる

以上の他にもいくつか押さえておきたいポイントがありますので、それぞれ簡単に説明します。

顧客の相場観を確認しておく

3つ目のポイントの「BANT条件」の予算に関連して、現在提案している商品やサービスに対する顧客の「相場観」を確認しておく必要があります。

例えば、顧客がかなり安い相場観のイメージを持っていたとすると、見積金額を提示した時点で「桁違いに高い」と思われてまったく購入意欲を失ってしまうでしょう。

あるいは、「相場よりも高い金額を提示してきた」と勘違いして、営業マンに対して悪い印象を抱くことになるかもしれません。

このようなときには、正しい相場観を伝えることによって、正しい認識のもとで顧客が判断できるようにしなければなりません。

決断できない理由をつぶしていく

顧客が決断できない理由としては、「もっと安いものがないのか?」「もっと良いものがないのか?」「この営業マンを信用しても良いのか?」などがあると言われています。

これは人間が持っている「損はしたくない、少しでも得をしたい」という気持ちによるもので、顧客の思考がこのような状態にある時にクロージングをかけても、成約に至る可能性はほとんどありません。

このようなときには他社との比較資料などを説明するなどして、顧客の悩みや不安を解消するようにすると、自社の商品やサービスの検討に集中してもらえるようになります。

ストレートに購入意思をきいてみる

営業マンも相手の気持ちに配慮しすぎて、同時に顧客も「良いとは分かっていても、なかなか決断できない」というような場合には、話が前に進まないというようなケースに陥ることも考えられます。

このような場合は、ストレートに顧客の購入意思を聞いてみて、迷いを払拭する後押しをすると成約できることもあります。

相手の心理状況などを観察する必要があるのは当然ですが、時には自信を持って背中を押してあげることも効果的です。

テクニックに頼り過ぎるのはNG!顧客一番を忘れないこと!

この記事では、クロージングで成約率を上げるために押さえておくべき8つのポイントやテクニックについて説明をしました。

営業マンとしては、顧客が抱えている課題や困りごとを解決する手段として自社の商品やサービスを提供して、顧客に満足していただくことを一番に考えなければなりません。

とにかく商品を売ろうというのではなく、顧客にとっての一番は何かを考えて提案を行いましょう。

相手の課題や困りごとを解決できるような提案をすることによって、顧客との間に信頼関係を構築することもできますし、たとえ今回受注につながらなかったとしても「あの営業マンはきちんと考えてきてくれた」という好印象を残せるでしょう。