営業に配属されているけど、どうにも新人時代の意欲がない、仕事に楽しみが見いだせずつまらない……と考える方が多くなる季節です。
仕事がつまらないままだとやりがいが感じられず、将来が不安になってしまうこともあるかも知れません。
しかし、つまらない営業から脱却する方法はあります。今回はそんな「営業はつまらない」と思っている方向けに、簡単なことから環境を変えられる方法について解説します。
もし「営業」という職業スタイルについて「つまらない」と思ったことがある方は、記事を読んでいただき、紹介した内容を環境改善の一手に加えてみてください。
なぜ営業をつまらないと感じるのか?つまらない理由4選
それではまず「なぜ、営業はつまらないと感じるのか?」について考えてみたいと思います。
ご自身の置かれた環境と照らし合わせ、問題点を浮き彫りにして、次のステップへ進むための材料としてご覧ください。
【理由1】結果が出ない、評価されないから
職業、仕事、業務のやりがいとは、目に見える成果が得られるかどうかに左右されます。
本来推奨される行為ではないですが、かつての日本の商社などの営業課においては営業成績がグラフ化されて掲示されるといったこともありました。
こういった環境下において、周りが何かしらの結果を残しているのに自分の結果が振るわなければ、営業がつまらないと思えてしまってもおかしくはありません。
そんな環境では肩身の狭い思いをして、営業という仕事へのモチベーションがガタ落ちしてしまうこともあるでしょう。
もとより昨今だと、営業はフィールドセールスという部署に統合され、営業パイプラインの一環として受注という成果を出すことが求められがちです。
そのような状態では自分が「歯車」の一部となった感覚になり、成果を出しても自分の実力であると素直に喜べない、もしくはきちんと評価されていない気分に陥ることが起こるかもしれません。
【理由2】同じことの繰り返し・重いノルマ・中途半端な慣れで将来が不安だから
スムーズに営業という仕事に取り組むためには、事前準備から始まり資料作成を行い、時間ができてもルート訪問に駆り出されたりなどやることが多く、日々の業務がルーチン化してしまうこともあります。
デスクワークで同じような資料とばかり向き合い、対面業務でも同じ担当者とばかり会うことになり、毎日同じことの繰り返しなのではないかと思い込んでしまうと、とても営業を楽しめる状態とはなれません。
新人の頃は勉強することばかりで新鮮に思えた業務も、何年も経ってしまうと慣れから、飽きてしまうこともあるでしょう。
あるいはノルマがある場合、やっと達成できたとしてもすぐに次のノルマが来る……と、プレッシャーに押しつぶされてしまうことも。
そんな状態では、スキルアップも望めないと思い込み、自分がいる業界に愛着も持てなくなります。
それどころか、自分がいる業界は泥舟、落ち目なのではないかと不安の悪循環に陥ってしまうことも。
将来きちんとしたキャリア形成ができるのか、心配に陥ってしまいかねません。
【理由3】人間関係や環境、商品に興味が持てないなど外的要因に問題があるから
業務内容に問題がなくても、上司や同僚が自分の仕事の邪魔をしてくるような人だったり、性格が合わず話が通じない人だったり「人間関係」に問題がある場合、どんなに仕事が好きでも継続は困難です。
また会社の雰囲気が良くても、取り扱う商材に魅力を感じなかったり、セールス体制にいまいち賛同できなかったりするかもしれません。
このような場合、営業という職種以前に「職業」へ自己嫌悪を抱く恐れやモチベーション低下が起きてしまいます。これを避けるため、転職も視野に入れて活動すべきかも知れません。
【理由4】単純に対人コミュニケーションがストレスだから
セールスパーソンという立場が与えられた以上、業務上で既存なり新規なりの顧客とコミュニケーションを取ることは確定したようなものです。
テレアポ業務なんかに関わる場合、全く知らない人にいきなり電話をかけ、うちの商品に興味がないかどうかと、見方によっては非常に失礼なことを聞くはめになります。
そんな中で対人コミュニケーションが苦手だったりすると、自己の職業がつまらないどころか苦痛に感じてしまってもおかしくありません。
向き不向きの話で、先に転職や異動を考えるべきかもしれませんが「人と話すのが好き」だから営業が向いているかも、という想像を基盤に営業へ配属されたとして、日常会話とビジネス会話では使う神経やストレスの度合いが別次元であるという結果が待ち構えています。相手の機嫌を損ねてはならず、言ってOKな単語、NGな単語が明確に決まっています。
そういった想像とのギャップに苦しめられると、営業がつまらないという結論に至ってしまうでしょう。
営業の「やりがい」とは?3つのやりがいを解説
日々の営業がつまらない状態では、この仕事にやりがいなんてあるのだろうか?と考えてしまいます。
ここで一度、本当に営業という職種にやりがいがあるのかどうかについて考えてみましょう。
【やりがい1】全社員を代表して顧客と向き合う
多くの場合営業とは、獲得したアポイントから受注を目指します。
商品・サービスを顧客に買ってもらい、自分の所属する企業の利益とします。
まさに自分が会社の資本を生み出している状態です。
さらに顧客は自分の「課題」や「困りごと」を解決したいがためにセールスパーソンの商材を買うことになるため、物品を購入してくれるだけでなくセールスパーソンに感謝を述べます。
自分のやり方次第では不利益をもたらしてしまうかも知れませんが、全社を代表するという責任感と向き合えれば自分の功績を大きなやりがいと捉えることができます。
【やりがい2】数字を追うのが好きなら、成果がわかりやすく見て取れる
営業の成績とはすなわち売上であり、金額で示されるものです。
BtoBにおいても、BtoCにおいても取引額とは往々にして巨額であり、この数字は自分が創出したのだ、と思うことでやりがいが得られます。
数字が好きならば、自分はこれほど多くの金銭を動かせる実力がある、と自信に思えるかも知れません。
【やりがい3】会話スキル向上
【営業がつまらない理由】でも触れましたが、営業活動とはすなわち対人コミュニケーションです。
仮に結果が出なかったとしても、日々きちんと業務に向き合っているのだとすれば、営業という職種を選ばなかった人に比べて圧倒的に対人コミュニケーション経験が蓄積されています。
話し上手、聞き上手というスキルは実際のコミュニケーションを通じてしか得られません。スキルの向上が感じられなかったとしても、例えばあまり緊張しなくなったとか、第一声をどうするかは理解しているなど、意識していない部分で確実に経験値が貯まっています。
コミュニケーション技術は営業でなくても非常に重要なスキルです。例えば転職して新たに面談を行う際も、技術があるためこれまでより淀みなく話せるようになります。
別の職種に就いたとしても、プレゼンテーションの場などでは確実にスキルが応用できます。
このように、営業活動で得た経験はその後の人生に確実に活かすことができるため、結果的に人生の選択肢を増やし、やりがいを得られるでしょう。
「つまらない営業」から抜け出すには?脱却法6つを解説!
営業に配属されたのであれば、仕事は楽しくありたいものです。
ここまで、営業がつまらない理由、そんな営業でもやりがいは確実にあることを改めて確かめました。
そこで本章からは「営業がつまらない状態」を脱却し、やりがいにつなげるためにどうすべきかについて解説します。
「営業がつまらなくて行き場がない」と思ってしまった場合などに、ぜひ参考にしてみて下さい。
【脱却法1】営業のやり方、スタイルを大胆に変えてみる
営業がつまらなく感じる理由のひとつとして、業務のルーチン化を挙げました。
そこで自分の営業戦略を変えてみて、一緒に気分もリフレッシュするという方法を勧めます。
法人営業が向いていないと思えるのであれば個人営業に、新規開拓が苦手だと思うのであれば既存営業ができないかと管理者に申し出る手段もあります。
何を変えればいいかわからないといった時は、社内で営業ロープレを行い、客観的な視点を入れることも手です。
営業方法の見直しには、PDCAサイクルの回転を意識することも重要です。
やり方は簡単なことからでも良いです。例えば髪をオールバックにしてみるとか、背広を新調するなど気分転換を取り入れてみてはいかがでしょうか。
【脱却法2】相談相手を見つける
営業がつまらない、どうすればいいかわからないという時には、経験者に聞いてみましょう。
同じ職種であれば、近い悩みを持っているはずです。上司や同僚に腹を割って話してみれば、思いがけない答えが得られるかも知れません。
不満がある場合には、ノルマの見直しや制度の廃止などにも応じてくれる可能性もあります。
本当に社内では相談相手が確保できないという場合には、無料セミナーなどに参加するのも有用です。
同じことに悩んでいる人との出会いがあれば切磋琢磨できます。
また、お互いの相談に乗るうち、自分ならこうするのに、といった考え方が得られ自分の仕事にも応用できるようになるかも知れません。
【脱却法3】何が仕事をつまらなくしているのか究明する
営業がつまらない場合、何が原因なのかプロセスを切り分けて考えてみるのも手です。
すると、顧客と会うのは楽しいが、その前の準備や資料作りなどが重荷になっているなど、部分部分における問題が判明するかも知れません。
あるいは、KPIなど目標設定が適切でない可能性があります。もしかしたら現場は、トップセールスに基準が置かれ、全体の達成基準が異常に持ち上げられてしまっている状態かも知れません。
本来、目標とは全員に同じ数のノルマが課されるといったものではなく、個人ごとに適切に設定されるべきです。
こういったことを踏まえて【2】にもあった相談を持ち込むことで、自分の適性が見直され、異動など新たな展開を手にすることができるかも知れません。
【脱却法4】内発的動機づけをする
内発的動機付けとは、自己の内面に沸き起こった興味関心や意欲に動機づけされることです。
内発的動機には、外発つまり他者から与えられるインセンティブやノルマ達成の褒美などよりも行動持続の期待が高いという特徴があります。
自分の内側から発生するものであるため、「やりたいこと」に転換できるためです。
内発的動機には、以下のような要素が挙げられます。簡単に言えば「何を目指すか」「営業活動に取り組むことで、何を得たいか」を指標とします。
自分に合うものがないか探し、内発的動機として位置づけてみて下さい。
・目標達成によるスキルアップ
・目標達成による表彰
・目標達成による昇進
・未知の人、文化との出会いによる自己研磨
・自分が頑張ることによる周りへの好影響
・知識欲や好奇心への満足度向上
・自己の行動による組織の制度改革、フレームワークの更新
・お世話になった人々への報恩
【脱却法5】基本に立ち返る
営業がつまらないと思う場合、もしかすると新人の頃はきちんとできていた基本的なことが守れなくなっている、忘れてしまっている可能性もあります。
例えば訪問の前には市場調査、企業研究、業界研究が必要であるものの怠ってしまっていたり、身だしなみが抜けていたりなど。
気が緩んでいると、大切な約束すら反故にしてしまいます。例えばアポの日を間違えてしまうほど気が抜けてしまっていたのであれば、仕事が楽しめるはずはありません。
他にも、社内外どこであろうと約束の時間の10分前には間に合うようにする、話を誇大にしてしまわない……といった人としての基本の遵守も軽んじるべきではないでしょう。
【脱却法・番外編】転職する
「営業がつまらない時の脱却法をあらかた試したけど、希望が見えそうにない」と感じた場合には、転職という手段もありです。
本当に営業が向いていないのかも知れませんし、向いているのに自分の適性が発揮されない職場にいるのかも知れません。本来、業種をまたぐような場数を踏まないと自分の適正は判明しないものです。
世間には多くの会社があります。終身雇用の現場にいたけど成果主義の企業に魅力を感じたら、そういった企業の門を叩いてみてはいかがでしょう。
もしかしたら、雇用形態ではなく個人事業が合っている場合すらあるかも知れません。
転職とはそんな自分の本質と改めて向き合うチャンスであるとも言えます。
転職の際は以下のことを意識、あるいは気をつけましょう。
・辞める理由(自分にとって、何が問題なのか)をはっきりさせる(同じことを繰り返す可能性を下げる、面接時にぶれない答えを出すため)
・転職先は、現在判明している問題をクリアできるか
・「自分にとっての仕事でのやりがい」とは何かがはっきりしているか
・転職するためにかかる費用、転職中の生活費は確保できるか
・自分のキャリアを活かせる転職先・業種・業界が判明しているか(改めてキャリアと向き合い、自己分析できているか)
・転職先はどういった項目に評価基準を置いているか
・転職先は職場見学できるか(自分の将来設計に近い、目標としたい人物はいそうか)
・転職エージェントへの相談
つまらない営業を楽しくするには色々な方法がある!まずは試してみよう
営業がつまらないことには理由があります。営業に限らず、どの仕事にも共通している事実です。
ただ、つまらない理由をひとつひとつ潰していくことは可能であり、その先には仕事を楽しくする可能性が広がっています。
本当に嫌なら辞めてしまうという大きな環境変化の手段だってあります。まずは自分にできそうなことから試してみて、本当に営業がつまらないのか、改善できるのか、確かめてみて下さい。