いつもモチベーションが高い営業マンが取り入れている9つの習慣 

近年、セールスパーソンが自己のモチベーションを高く維持することは非常に難しくなってきています。

ただでさえ営業職は数値だけで評価されやすく、やる気が空回りしてしまうことも多い職業であると言えます。

そこで本記事では、「セールスパーソンとして働く上で、いかにモチベーションを高く持ち続けるか」について解説します。

解説の中では、モチベーションを高く維持するためにトップセールスたちが取り組んでいる習慣についてもご紹介します。

「営業活動をしているけど、気持ちが落ち込んでいる」、「仕事が停滞気味である」といった場合に、参考にして頂ける内容となっています。

ぜひ、簡単に真似できる9つの習慣をひとつでも真似するところから始めてみてください。

【監修者】 小沼 勢矢

【監修者】 小沼 勢矢

一般社団法人プロセールス協会 代表理事
中小企業サポートネットワーク「スモールサン」YOKOHAMAプロデューサー

脳科学の権威である石川大雅に師事し、40年間3万人以上の成功者の脳と向き合い確立して来た「実証的脳科学」を提供するプロ・アライブ社を承継。2代目経営者となり組織開発や人材教育の場数を踏み、8年で3,500人以上のクライアントに指導してきた実績を持つ。コロナ禍で営業に課題を抱えるクライアントが増加したことをきっかけに成約率80%を達成するための脳科学を基にしたセールスメソッドを確立。価値あるサービスを世の中に上手く届けられずに困っている事業者様を支援したいという想いから、一般社団法人プロセールス協会を設立。セミナー・コンサルティング・会員サービスなどの提供を行う。

そもそも営業マンはモチベーションを維持することが難しい

営業をかける側と顧客、つまりモノを「売る」側と「買う」側では購買活動への意識にギャップがあります。

例えば買う側、消費者は広告なりインターネット上の情報などあらゆる条件をもとに商品を選ぶことができますが、売る側、供給する側は顧客や売り方を選べません。

マーケティング施策による広告や電話を使ったアプローチなど、部署によってセールス方法は変わりますが、担当者自身の裁量によって急にやり方を変えることはできません。

企業は、セールス活動によって「うちの商品を買ってください」と促すことしかできませんが、顧客は自分で情報を取捨選択し、自由に商品を手にします。

つまり顧客が、企業のセールス活動などなくても購買行動できる時代となってしまいました。

むしろ、一方的なアプローチはそこまで求めていないとさえいえるでしょう。

そんな背景がある以上、セールスパーソンが「売る行為」という業務へのモチベーションを維持することは非常に難しくなります。

モノが生産され、類似商品から選ばれて手に取られるという経済の中で、自分が必要とされていないのであれば、どうすればモチベーションが保てるでしょうか?

営業のモチベーションを維持することはなぜ重要?

顧客の行動変容が起きている現代において、営業担当者がモチベーションを高め、維持する必要がある理由は、組織として高い水準で営業活動を行うためです。

toB営業において、セールスパーソンの支えを必要としている顧客はいまだ非常に多いです。

顧客を相手にした時に、担当者自身のモチベーションが低くては会社の売上に響きます。

それだけでなく、良くも悪くも組織としてのモチベーションすら左右することにもつながってしまいます。

担当者のように現場に赴く個人がモチベーションを保ち、ポテンシャルの高い営業を実現できたのであれば組織の目標が達成されます。

つまり個人のモチベーションは組織を盛り上げ、組織が適切な目標設定を掲げることで個人の成長を促し、モチベーションを上げていく……と次への発展を促す相乗効果が期待できます。

営業のモチベーションを高め、維持していくことで全体の利益につながります。

モチベーション維持は非常に重要であると言えるでしょう。

いつもモチベーションが高い営業マンが取り入れている9つの習慣

本章からは、セールスパーソンとしてモチベーションを高め、維持していくために必要な「9つの習慣」について紹介します。

モチベーションの高いセールスパーソンたちが日頃どのような習慣を持っているのかぜひ確かめ、できることから真似してみてください。

その1:目標を明確に、達成しやすい内容にする

営業課とはもともと数値目標などでKPIが設定され、目標達成のために奮闘するケースが多くなります。

ただ数値目標は他者と比べやすくなってしまい、優劣を決めてしまうような結果が起こりえます。

場合によっては、部署の良い雰囲気を維持することが難しくなってしまうこともあるでしょう。

そこで、個人別に目標設定をしてみてください。

本項はマネジメント層からむしろ提案し、積極的に課員を巻き込んで実現すべきです。

例えば駆け出しのセールスパーソンであれば、当月の結果から少しだけ上乗せした目標を次月に立てる、といった内容になります。

マネジメント層としては、以前の実績を乗り越えることでさらに成長させる、といった目的で負荷の高いストレッチゴールを設定したくなりますが、画一的に全体の目標を揃えてしまうことは無謀と言えます。

まだ駆け出しだったり、上手く結果が残せていないセールスパーソンが、いきなりトップセールスと同じ水準の負荷を与えられてしまってはモチベーションの維持など不可能です。

ぜひ個々の状況、スキル習熟度などに合わせて目標設定をしましょう。

その2:目標達成に必要な行動を洗い出す

個々の目標が設定できたのであれば、後は行動に起こすだけです。

しかしながら、行動・達成の仕方も個別に異なります。

取り組みやすいのは、目標を細分化することです。

目標達成するために必要な行動を、プロセスごとに分け、さらに細かく見ていくことで、その時々で必要な行動が浮き彫りになります。

すると例えば、この部分は一人でも進められるが、その後は先輩の助けが要るかも知れない、といったことが判明するでしょう。

ひとまずは助けが必要な部分まで、1人で進めてしまえばいいのです。

とりあえず行動に起こしてみる、という動機があれば停滞がなくなります。

上記の「行動の洗い出し」により、伸ばすべき得意な部分や上手く行かないため改善が必要な部分がわかり、今後に活かしやすくなります。

その3:「お断り」をチャンス・ラッキーと捉える

モチベーションを上げる方法のひとつとして、案件の破談自体を喜びに変えてしまうという考え方があります。

つまり顧客からセールスを断られたら、次の案件に時間を費やすチャンスが生まれた、と考えるのです。

案件は、いつか必ず終わりが来ます。

「お断り」はその案件が終わったことを意味しますから、もう頑張らなくていいわけです。

確かにセールスパーソンの目的は受注して、全体の売上に貢献することではありますが、全ての案件を成約に導くなどということは絶対に無理です。

つまり案件とは遅かれ早かれ、または成功でも失敗でも必ずどこかで誰かに交代し、自分が降りることになるのであれば、それが早く来たと捉えれば良いのです。

成功したらカスタマーサクセスに、失注してもインサイドセールスに差し戻され、いずれまた売上の一部へと導けるかも知れません。

そして次の案件がセールスパーソンのもとへ回ってきます。

成功しようがしまいが次の案件が残っているのであれば、次の案件にまた全力を注ぐ時間を割きたいはずです。

素早く切り替え、有効に使える時間を増やしてモチベーションを保っていきましょう。

その4:商談前のルーティンを作る

モチベーションアップに有効な手段として、商談前にすべきことを前日や当日にルーティン化してしまうというものがあります。

ルーティンとは同じ行動を取ることで、何らかの事前準備などをパターン化してしまうということです。

商談で必要なことなので、必ずその日もしくは次の日の商談で役立ちます。やって損はありません。

例えば、商談前日に社内にいるうちからToDoリストを作ってしまうなど。

訪問するための経路をまとめて印刷したり、どのスーツを着ていこうと考えるなどです。

本番当日は、体力だけでなく会話で脳をフル活用するため、朝ごはんには炭水化物だけでなく蛋白質やDHA、ビタミンやミネラルを摂る、と決めておくことも効果的です。

もし現地へ直行する場合は、時間に余裕を持って普段できない行動を挟んでみるなどもいいでしょう。

余った時間でジムに立ち寄ったり、一駅歩いてみるなどすれば、頭がリフレッシュするはずです。

清められた頭でクライアントのもとを訪れたら、上手く行かないイメージは払拭できるのではないでしょうか。

このように「商談前に必要な行為」を習慣化できれば、自ずと勝ちパターンを手にすることができ、モチベーションアップに寄与します。

その5:これまでの成果を振り返る

もし成果が出なかったり停滞に悩んでいる場合は、自分の成果を振り返ってみましょう。

成果とは間違いなく自分が残した成功の証です。

自分には、成功をもたらすための答えとなるなにかが潜んでいるのです。

そこを深堀りしてみれば、次の商談に活かせることが再発見できるかも知れません。

あるいは、上手く行ったけどもう少し上手くできた、といった改善点が見つかるかも知れません。

いずれも、自己の成長に繋がります。

また自分が成功した体験を思い出すことは、単純にそれだけでもモチベーションアップに寄与します。

自分には実績があるのだと、自信を持ってください。

その6:目標を達成した未来を想像する

モチベーションアップの方法として、「仮に今、設定した目標を達成したらどうなるか?」といった先のことを想像してみるというものがあります。

これは、ああしろこうしろと外部から無理やり行動させられるよりも、自発的に行動できるようになる考え方でもあります。

未来を想像すると、目標を達成した後の自分にはどんな良いことが起きるのか、どんな利益が得られるのかが見えてきます。

例えば、「ToB営業でこれだけの成績を残せれば、後塵の育成といった新たな役割が与えられるかも知れない」といった新たなやりがいが見いだせるかも知れません。

さらに「この未来を実現するために、何が必要か」といったことが次第に見えてきて、行動に移しやすくなります。

自分には何が足りないか、足りないものを手に入れるにはどうすればいいかが一つ一つ見えるようになります。

ただ、いきなり全部を達成しようとはせず、過程を楽しむつもりでその一つ一つを達成できるように取り組んでみてください。

過程が楽しければ、それだけでモチベーションを高く維持したまま行動できます。

その7:営業のプロセスをゲーム化する

目標達成を、ゲームのクエストのように捉えて実践することも効果的です。

ゲームの原則をゲーム外の事柄に応用することをゲーミフィケーションと言います。

いっそ営業プロセスをゲーム感覚で進められれば、「切り替え」力がアップします。

仮に成約できなくても過剰に落ち込まず「仕方ないな、次行くか」という形で自然とモチベーションが維持できるのです。

ゲーミフィケーション的な考え方ができれば、業務をゲーム感覚で捉えられるため、「そういえばこの前聞いたあれが役に立つかも」と自然に色々試そうとする心理が働き、チャレンジの幅を増やすことにも貢献できます。

一日ごとに違ったアプローチをしてみる、といったことをデイリークエストとして扱っても良いかも知れません。

上記の考え方は自分にあった営業方法を模索することにもつながるため、必ず今後に活かせます。

もちろん、ひとつひとつの商談準備を適当にしてはなりません。

ゲームで初めてのレイドボスと戦うときには、相応の準備が必要です。

そういった感覚を応用して、ゲームの主人公になった感覚で真剣に遊んでみてください。

その8:確度の高い訪問先を回る

モチベーションがアップするのはどんなときでしょうか?それは目的が達成できた時です。

そのため、営業であれば受注・成約につながりやすい訪問先を回ってみることで成功体験を積み重ね、モチベーションを上げましょう。

あるいは話し慣れた顧客でも良いでしょう。

自然体で会話でき、トークスキルを磨くことができます。

顧客とにこやかな雰囲気で会話を終えることができれば、自然とやる気が湧いてきます。

成功体験は、自信を回復させることにも寄与するのです。

断られて、「何がいけなかったのか」と自問自答して、「次は負けない、頑張るぞ」と思うセールスパーソンもいるかも知れませんが、そういった方はもともとモチベーションが高い状態です。

ハードルを下げ、自分にできるところから担当してみましょう。

その9:研修やセミナーに参加する

手軽なモチベーションアップの方法として、社内外研修やセミナーに参加するというものがあります。

研修やセミナーでは同じ動機を持った新たな仲間が見つかり、ひとりじゃないという安心感が得られたり切磋琢磨できるようになります。

それだけでなく、単純に今まで知らなかった知識や仕組みなどがわかるようになり、「これは今まで悩んでいたあれこれに使えるぞ」と活路を見出せてモチベーションアップにつながります。

自分が得た知識や方法で顧客の悩みを解決できるようになれば、自分の成長だけでなく顧客の幸せも実現できたことになり、さらなる営業効果が期待できます。

モチベーションを高めて維持するためには行動や目標を細分化することが大切!

セールスパーソンが営業活動においてモチベーションを高め、維持することは簡単には行かないように感じられるかも知れません。

しかし、少しの行動や目標設定から始めることで、自分のできる範囲から少しずつ解決に導けます。

モチベーションアップの方法はひとつだけではなく、様々です。

ひとつひとつを細かく見ていけば、必ず自分に合った方法が見つかるはずです。

どうか自分にはなにも出来ないなどとは思わず、簡単なことから実践して、まずはモチベーション維持を目指してください。