近年、技術革新やメディアの多様化が進み企業を取り巻くビジネス環境は激変しています。
このようなビジネス環境のなかで「BtoBマーケティング」の手法も大きく変化しており、「リードジェネレーション」によって獲得した見込み顧客を「購買意欲の高い見込み顧客」まで育成する「リードナーチャリング」という手法が注目されています。
そこでこの記事では、「リードナーチャリング」を行うための代表的な方法を8つ紹介しますので、自社にとって有効な方法を導入して営業効率の向上に役立ててください。
リードナーチャリングを行うための代表的な8つの方法
「リードナーチャリング」を行うための方法にはいろいろなものがありますが、多様化したメディアを活用した方法が効果的だと考えられます。
ここでは、オンラインやオフラインのメディアを利用した代表的な8つの方法を紹介します。
方法1:メール送信
「リードナーチャリング」を行うための代表的な方法の1つ目は、「メール送信」です。
一般的には、「リードジェネレーション」によって獲得した見込み顧客にメガマガの購読者に登録してもらって、定期的にメルマガを配信するという方法を取りますが、「リードジェネレーション」での獲得手段がメルマガの場合は、そのまま継続することになります。
メルマガを配信することによって見込み顧客との接点を持ち続け、購買意欲を高めていって、将来購入しようというときに思い出してもらうことが大きな狙いです。
メガマガの内容としては、一般的には新商品情報やホームページ更新のお知らせ、キャンペーン情報などになりますが、ノウハウ・TIPS・ちょっとした知識や業界の最新情報などを盛り込むと有益性が向上します。
ただし、メルマガは一斉配信という特性上どうしても万人向けの内容になってしまいがちですので、すべての見込み顧客に興味を持ってもらえるとは限りません。
この対策として、見込み顧客の興味や関心度合い、購買意欲の度合いに応じてパーソナライズされたメルマガを配信することもあります。
さらには、見込み顧客の行動に応じて、あらかじめ設定したスケジュールに従った情報を段階的に配信する「ステップメール」や、属性や条件によって分類した見込み顧客ごとに配信内容を変える「セグメントメール」を利用することもあります。
「ステップメール」の具体例としては、資料をダウンロードした見込み顧客に対して、次のアクションを促すメールを送ったり、イベントやセミナーに参加した見込み顧客に対して、チュートリアルなどのフォローメールを送るといったことが考えられます。
「ステップメール」には最適なタイミングと回数がありますので、うまくいけば見込み顧客の関心度合いが上がって次のレベルまで持ち上げることが可能となります。
また、「ステップメール」を利用して、自社の商品やサービスへの理解を深めてもらうための段階的な教育(育成)を行うことも考えられます。
一方「セグメントメール」の分類方法の具体例としては「年齢」「性別」「役職」「業種」「会社規模」などの属性による分類や「カタログの請求」「セミナーへの参加」などの見込み顧客のアクションによる分類があります。
「ステップメール」も「セグメントメール」も、一般的なメルマガに比べて、それぞれの見込み顧客の興味や関心度合いの高い情報が届けられるため、メールの開封率アップや次のアクションを促す効果が期待できます。
方法2:セミナー開催
「リードナーチャリング」を行うための代表的な方法の2つ目は、「セミナー開催」です。
見込み顧客の興味や関心度合いに応じて、適切なテーマのセミナーを無料や格安で開催することも代表的な「リードナーチャリング」の方法です。
セミナー開催は、前項の「メール送信」などと違って、対面という形で見込み顧客とコミュニケーションが行えることが大きな特徴となります。
また昨今では、テレワークが広く普及していますので、無料のウェビナー(オンラインセミナー)を開催すれば、交通費などがかからずに遠方の見込み顧客が参加可能となります。
セミナーのテーマについても、比較的関心度合いの低い層向けのものから購買意欲が高まっている層向けのものまで複数のセミナーを準備しておき、徐々に自社商品やサービスに関する教育(育成)を重点とした内容のセミナーを受講してもらうようにしていくことも考えられます。
方法3:SNS発信
「リードナーチャリング」を行うための代表的な方法の3つ目は、「SNS配信」です。
代表的なSNSとしては、Twitter、Facebook、Instagramなどがありますが、いずれも無料で利用することができること、ユーザー数が非常に多くて拡散力が高いこと、ユーザーからの反応がわかりやいことなどがメリットとして挙げられます。
SNSは集客などに有効ですので「リードナーチャリング」の前のプロセスの「リードジェネレーション」によく利用されるツールですが、見込み顧客との信頼関係を構築しながら育成する「リードナーチャリング」にも活用できます。
SNSはコミュニケーションツールとして優れていますので、見込み顧客を自社や自社の商品やサービスのファンにさせるような投稿やキャンペーンの実施など、主にファン化を図るための教育(育成)を行うことができます。
自社が取り扱っている商品やサービスの内容にもよりますが、SNSを利用したモニター募集、無料コンサルの募集などのキャンペーン情報は、比較的拡散しやすく多くの見込み顧客とつながりやすいと考えられます。
注意点としては、SNSは種類が多いため自社の顧客とつながりやすい適切なツールを選ぶ必要があるということです。
文字数制限や利用しているユーザーの年齢層などSNSの種類によって特徴が異なるため、自社の商品やサービスとの相性を考慮したうえで最適なツールを選ぶようにしましょう。
方法4:無料テンプレートや無料ツール、商材の配布
「リードナーチャリング」を行うための代表的な方法の4つ目は、「無料テンプレートや無料ツール、商材の配布」です。
対象となる自社の商品やサービスが、PC用ソフトウェアやPC用ツールである場合や無料で利用できる商材として配布可能なものである場合は、自社サイトやメルマガ、SNS、ダウンロードサイトなどを通じて配布する方法が考えられます。
見込み顧客に実際に利用してもらうことによって、その商品やサービスの効果や使い勝手などを実感してもらうことができますので、見込み顧客の購買意欲が高まることが期待できます。
方法5:動画での教育
「リードナーチャリング」を行うための代表的な方法の5つ目は、動画での教育(育成)です。
前述のウェビナー(オンラインセミナー)は、場所の制約は受けませんが開催時間に合わせてネットワークに接続して参加する必要があります。
しかし、ウェビナー(オンラインセミナー)の内容を動画教材として配布すれば、時間の制約もなくなり、より多くの見込み顧客に視聴してもらうことができ、自社商品やサービスに関する教育(育成)を行うことができます。
また、専用の教育(育成)用の動画教材を制作して配布することも考えられます。
方法6:オウンドメディアでの発信
「リードナーチャリング」を行うための代表的な方法の6つ目は、「オウンドメディアでの発信」です。
オウンドメディアとは「自社が所有するメディア」という意味ですが、マーケティング分野では、自社で運営するWebサイトやブログなどを指します。
一般的には、オウンドメディアを通じて、自社の理念や有益な情報を発信することによって、会社の認知度向上などを行いますが、「リードナーチャリング」を目的として利用する場合は、オウンドメディアからの資料請求、メルマガへの登録、ECサイトへの誘導などの導線を引いて活用することができます。
この場合、どの導線を選んだかによって、その見込み顧客の興味や関心度合いを推測することができ、次のアクションを促すようなことが可能となります。
例えば、資料のダウンロードや資料請求、メルマガへの登録、ECサイトの閲覧をした見込み顧客は自社への興味や関心度合いが高いという判断ができますので、他の見込み顧客と区別してより興味や関心度合いを高めるようなセミナーへ誘導して教育(育成)をするというようなことができます。
方法7:既存の見込み顧客へのフォロー
「リードナーチャリング」を行うための代表的な方法の7つ目は、「既存の見込み顧客へのフォロー」です。
「リードナーチャリング」によって、既存の見込み顧客のフォローを行うことも可能です。
すぐには購入には至らないかも知れませんが、継続的な情報発信を行って既存の見込み顧客と接点を持ち続けることによって、自然な形で見込み顧客のフォローをすることができます。
例えば、過去に資料のダウンロードをしてくれた見込み顧客に対してセミナー開催の案内を送付したり、自社サイトを訪問した見込み顧客にサイドの訪問を促したりなど、次のステップに誘導するようなことが可能となります。
方法8:失注顧客への定期的な連絡
「リードナーチャリング」を行うための代表的な方法の8つ目は、「失注顧客への定期的な連絡」です。
失注の理由はいろいろあるかも知れませんが、少なくともその顧客は「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」「リードクオリフィケーション」を経て営業部門に渡ったことがある顧客であり、自社の商品やサービスを購入する可能性があった顧客だということになります。
つまり、新たにリードを獲得するよりは遥かに効率よく「リードナーチャリング」が行える顧客だと考えられるのです。
過去の属性情報や関心情報なども残っているはずですから、例えば3ヶ月に1回など定期的に連絡をすることから始めて、徐々に頻度を高めたり他のアクションを促すなどによって前回よりも精度の高い効率的なアプローチができるようになり、次回は成約につながる可能性が高まるでしょう。
どの手法が自社のリードナーチャリングに有効なのか、どう導入するかはそれぞれ違う!リスト獲得〜育成の導線をまずは視覚化させるところから始めよう!
以上、「リードナーチャリング」を行うための代表的な方法を8つ紹介してきましたが、これらの8つの方法を全て個別に行ったからといってうまくいくものではありません。
「リードナーチャリング」を導入する際に、事前に考えておかなければならないことがあるからです。
それは、見込み顧客が自社の商品やサービスを認知してから実際の購買に至るまでの「導線」です。
見込み顧客が自社の商品やサービスを認知する手段にも多様なものがありますし、見込み顧客が認知した時点での購買意欲のレベルや属性も様々です。
例えば、商品知識を得るためにセミナーに参加した人と、たまたま展示会に立ち寄った人とでは、明らかに購買意欲が違いますので、きちんとセグメント分けをして、その人に対する情報提供の内容やアクションを変える必要があります。
例えば、広告で獲得した見込み顧客に電話をかけて無料面談を行い、無料面談でセミナー参加を促し、セミナーでしっかり教育(育成)した上でオンラインまたは対面での個別商談に持ち込むという「導線」だったり、メルマガ登録によって獲得した見込み顧客にステップメールを送り、徐々に教育(育成)を行い7通目でオンラインセミナーに誘引し、参加者をしっかりと教育した上で商品やサービスの販売に持ち込むという「導線」など、いろいろなケースが考えられます。
このように「リードジェネレーション」によって獲得した段階における見込み顧客の購買意欲や属性によってセグメント分けし、その見込み顧客をその後どういう「導線」で商談まで導くのかを視覚化することが必要となります。
大事なのは自社の商品やサービスに合わせて、上記の8つの方法を使った適切な「導線」を作るということです。
リードナーチャリングは営業効率を向上させる重要な要素!8つの手法を駆使して営業効率を向上させよう!
この記事では、「リードナーチャリング」の代表的な8つの手法を紹介しましたが、いずれも「リードジェネレーション」によって獲得した見込み顧客を育成することによって、自社の商品やサービスへの興味や関心度合いを高めていくことが目的です。
「リードナーチャリング」で育成された見込み顧客は「リードクオリフィケーション」によって絞り込んで選別され、購入可能性の高い見込み顧客として営業部門に引き渡されます。
営業部門では、この購入可能性の高い見込み顧客だけを重点的にフォローすることが可能になるため、営業効率が向上し成約率も高くなるのです。
ここでご紹介した8つの手法を駆使して営業効率を向上させてみましょう!