リードナーチャリングとリードジェネレーションの違いや関係性とは?

営業効率の向上に効果的なマーケティング手法として「リードジェネレーション」や「リードナーチャリング」が注目を集めています。

この背景には、インターネットを利用した様々なオンラインメディアの発達とリモートワークの普及があると考えられます。

この記事では、「リードジェネレーション」と「リードナーチャリング」について取り上げて、それぞれの違いや関係性について詳しく解説したいと思います。

【監修者】 小沼 勢矢

【監修者】 小沼 勢矢

一般社団法人プロセールス協会 代表理事
中小企業サポートネットワーク「スモールサン」YOKOHAMAプロデューサー

脳科学の権威である石川大雅に師事し、40年間3万人以上の成功者の脳と向き合い確立して来た「実証的脳科学」を提供するプロ・アライブ社を承継。2代目経営者となり組織開発や人材教育の場数を踏み、8年で3,500人以上のクライアントに指導してきた実績を持つ。コロナ禍で営業に課題を抱えるクライアントが増加したことをきっかけに成約率80%を達成するための脳科学を基にしたセールスメソッドを確立。価値あるサービスを世の中に上手く届けられずに困っている事業者様を支援したいという想いから、一般社団法人プロセールス協会を設立。セミナー・コンサルティング・会員サービスなどの提供を行う。

リードジェネレーションとリードナーチャリングはそれぞれマーケティング・営業活動の一部

「リードジェネレーション(Lead Generation)」と「リードナーチャリング(Lead Nurturing)」は、ともに「デマンドジェネレーション(Demand Generation)」というマーケティング・営業活動の一部です。

リードジェネレーションとは?

「リードジェネレーション」とは、自社の商品やサービスに興味を持った見込み顧客を獲得するための活動で、「リード」とは、自社の商品やサービスに関心があり、今後購入の可能性のある見込み顧客のことを言います。

BtoBマーケティングにおいては、将来自社の商品やサービスを購入する可能性のある見込み顧客を多く集める必要があり、そのために「リードジェネレーション」が利用されます。

リードナーチャリングとは?

一方、「リードナーチャリング」とは「リードジェネレーション」に引き続いて行われる活動で、獲得した見込み顧客を育成していくための活動です。

将来自社の顧客になる可能性のある見込み顧客との間に、各種メディアを利用した継続的な接点を作り、有益な情報を提供することによって信頼関係を構築し、自社の商品やサービスに対する購買意欲を高めてもらうものです。

「リードナーチャリング」における情報提供は、適切な内容を中長期的かつ適切なタイミングで行う必要があります。

「見込み顧客との接点タイミング」がリードジェネレーションとリードナーチャリングの決定的な違い!

「リードジェネレーション」と「リードナーチャリング」の決定的な違いは「見込み顧客との接点タイミング」です。

まず「リードジェネレーション」ですが、前述の通り「自社の商品やサービスに興味を持った見込み顧客を獲得するための活動」のことで、次のプロセスの「リードナーチャリング」に引き継ぐために多くの顧客情報を獲得することが目的となります。

そのために、自社の商品やサービスに応じたターゲットを決めて、そのターゲットと接点を持つことができると考えられるメディアを対象として「集客」を行います。

オンラインメディアとしては、オウンドメディア(Webサイト・ブログ)、SNS、Web広告、ウェビナーなどがあり、オフラインメディアとしては展示会、セミナー、テレアポ、広告出稿などがあります。

リードの個人情報を得るためには、例えば、メルマガへの登録や資料請求などをすると「非公開情報が入手できる」「ノウハウ集がダウンロードできる」などのようなユーザーにとって価値がある魅力的なオファー(見込み顧客を獲得するための働きかけ)を提示しなければなりません。

このオファーを受けた見込み顧客が顧客情報を提供することによってリードが獲得できるのですが、「リードジェネレーション」での見込み顧客との接点は、オファーに対して見込み顧客がアクションを起こしたタイミングのみとなります。

次に「リードナーチャリング」ですが、「リードジェネレーション」で獲得した見込み顧客に対して育成を行って、自社商品の成約につなげることが目的です。

具体的には、メールマガジンやセミナー、Webコンテンツなどを利用して継続的な接点を持ち続けて、有益な情報を提供することによって信頼関係を構築し、自社の商品やサービスに対する購買意欲を高めてもらいます。

このように、「リードナーチャリング」での見込み顧客との接点は、中長期にわたりかつ適切なタイミングで持ち続けることになります。

そして、見込み顧客が実際に商品やサービスを購入しようと思ったときに、自社を思い浮かべてもらうようにしなければなりません。

「リードジェネレーション」も「リードナーチャリング」も、最終的な目的は自社商品やサービスの購入につなげることですが、見込み顧客との接点タイミングが異なっています。

それぞれ方法もやり方も違う!方法で見るリードジェネレーションとリードナーチャリングの違い!

次に、「リードジェネレーション」と「リードナーチャリング」の具体的な方法の違いについて実例を上げながら説明します。

近年「リードジェネレーション」も「リードナーチャリング」もインターネットを利用した方法が増えていることが大きな特徴と言えるでしょう。

従来の対面による方法は直接のコミュニケーションが取れる反面、場所や時間、対応できる見込み顧客の人数に制約があるという問題がありました。

しかし、インターネットを利用したオンラインによる方法では、場所や時間の制約がなくなりますので、一度に獲得できるリード数も育成できるリード数も格段に増加します。

また、コロナ禍によるリモートワークの進展もオンライン利用が増加した背景になっているものと思われます。

「リードジェネレーション」の具体的な方法

「リードジェネレーション」の具体的な方法としては、オウンドメディア(Webサイト・ブログ)の活用やSNSでの情報発信、Web広告、展示会への出展、セミナーの開催、ダウンロードサイトの利用、テレアポ、広告の出稿などがあります。

自社の商品やサービスの特性に合わせたメディアや方法の選定がポイントとなります。

【1】オウンドメディア(Webサイト・ブログ)の活用

会員登録、DM登録、カタログ・ホワイトペーパー・資料などのダウンロード、ランディングページ、問い合わせフォームなどで顧客情報を集める方法です。

【2】SNSでの情報発信

FacebookやInstagram、TwitterなどのSNSによる情報発信を利用する方法です。

無料で利用できるSNSは利用者も多いため、投稿内容によっては広く拡散されるため高い効果が期待できます。

SNSの種類によるユーザー層の違いなどを理解しておく必要があります。

自社の商品やサービスが属する業界・業種によっては期待する効果が得られないケースもあります。

【3】Web広告

インターネット上のWebサイトに広告を掲載する方法で、次のような種類があります。

・リスティング広告(検索連動型広告):検索エンジンで検索をした際に検索結果に表示される広告のことです。

・リターゲティング広告(追跡型広告):自社のWebサイトを訪問してくれた見込み顧客を追跡して、他のWebサイトを見ているときに広告を表示するものです。

・Web広告:1件当たりの単価が他の媒体より安く、短期間で効率よく見込み顧客を獲得できます。ユーザーの年齢や地域などを細かく設定して配信できるという特徴があります。

【4】展示会への出展

自社で開催する方法と業界団体などが企画・運営する展示会に出展する方法があります。

見込み顧客と直接コミュニケーションが取れることが特徴です。

多く短期間に多くの見込み顧客を獲得することができ、場合によっては直接商談につながることがあります。

出典費用や展示物の準備などの手間がかかるというデメリットがあります。

【5】セミナーの開催

テーマや自社商品やサービスに関心のあるユーザーが参加しますので質の高いリードの獲得が期待できます。

Web上でのセミナー(ウェビナー)を開催することによって場所や時間の制約なく集客が可能です。

参加者の募集は、自社サイト・Web広告・メール・SNSなどを利用して行います。

【6】ダウンロードサイトの利用

複数の企業の資料を一括掲載してダウンロードができる専門サイトを利用する方法です。

ダウンロード専門サイトですので多数のユーザーが集まり、大量の見込み顧客が獲得できます。

一般的に資料請求1件当たりの費用が発生します。

【7】テレアポ

従来から行われている電話を利用したリード獲得方法で、人件費と電話代以外の費用はかかりません。

見込み顧客と直接コミュニケーションが取れるというメリットがあります。

電話相手が自社商品やサービスに興味があるとは限らないため、有効なリード獲得の可能性が低いというデメリットがあります。

「リードナーチャリング」の具体的な方法

「リードナーチャリング」の具体的な方法としては、メルマガの配信、Webコンテンツの掲載、セミナー(ウェビナー)の開催、展示会の開催、SNSでの情報発信、無料テンプレート・ツールなどの配布、リターゲティング広告、既存見込み顧客へのフォローなどがあります。

中長期的な接点を持ち続けられるような有益な情報を提供し、信頼関係を構築することがポイントです。

【1】メルマガの配信

獲得した見込み顧客に対して定期的にメルマガを配信する方法です。

見込み顧客との接点を持ち続けることが主な目的で、新商品情報やホームページ更新のお知らせ、キャンペーン情報などを配信します。

業界の最新情報やちょっとした知識・ノウハウを盛り込んで有益性を上げることもあります。

見込み顧客の興味や関心に応じてパーソナライズされたメルマガを配信することも可能です。

一斉配信ではなく、ステップメールやセグメントメールという方法もあります。

【2】Webコンテンツの掲載

自社のWebサイトやブログなどにWebコンテンツを掲載する方法です。

メルマガにリンクを張って自社のWebサイトやブログに誘導する方法もあります。

自社の理念や有益な知識・情報を発信して見込み顧客の興味や関心度の向上を目指します。

【3】セミナー(ウェビナー)開催、展示会開催

見込み顧客のニーズに合わせたテーマのセミナーや展示会を開催する方法です。

興味や関心度の高い見込み顧客にさらに興味を持ってもらうことができます。

対面でコミュニケーションが取れることに大きな特徴があります。

インターネットを利用した無料のウェビナー(オンラインセミナー)は、時間と場所の制約がなくなります。

【4】SNSでの情報発信

SNSを利用してモニター募集や無料コンサル募集などのキャンペーンを行う方法です。

比較的拡散しやすく認知度向上やブランディング効果も期待できます。

SNSの種類が多いため自社の見込み顧客と繋がりやすいツールを選ぶ必要があります。

【5】無料テンプレート・ツールなどの配布

有益な無料テンプレート・ツールの配布などを行って実際に効果を実感してもらう方法です。

【6】リターゲティング広告

自社のWebサイトなどを訪問してくれた見込み顧客を追跡して、他のWebサイトを見ているときに広告を表示する方法です。

見込み顧客の記憶に定着しやすいと言われており、その後商品への興味が高まった段階で自社サイトを再訪してもらうことが期待できます。

【7】既存見込み顧客へのフォロー

既存の見込み顧客に対して継続的な情報発信を行ってフォローを行う方法です。

すぐには商談にはつながらないかもしれませんが、自然な形で接点を持ち続けることができます。

リードジェネレーションで獲得した見込み顧客をリードナーチャリングで育成するため、密接な関係がある!

繰り返しになりますが、「リードジェネレーション」は自社の商品やサービスに興味を持った見込み顧客を獲得するための活動であり、「リードナーチャリング」はその見込み顧客を育成して将来の自社の顧客に育成していくための活動です。

双方の活動は、見込み顧客との接点やタイミングの違いがあるものの、ともにマーケティング・営業活動の一部となる重要な活動であり密接な関係があることは間違いありません。

自社で、「リードジェネレーション」や「リードナーチャリング」を導入する際には、それぞれの目的やポイント、メリットなどを正しく理解した上で、適切な事前準備を行ったうえで運用開始することが重要となります。

リードジェネレーションとリードナーチャリングの違いをしっかりと理解し、営業効率向上に繋げよう!

この記事では、「リードジェネレーション」と「リードナーチャリング」の違いと関係性について、接点タイミングや具体的な方法を挙げて説明しました。

どちらもデマンドジェネレーションというマーケティング活動の一部ですが、実際のマーケティング活動で利用する際には、きちんと理解して使い分けることが必要です。

営業効率の向上を目指して「リードジェネレーション」や「リードナーチャリング」の導入を検討してみましょう!