営業職でもテレワークやリモートワークが推奨されています。
常に顧客と対面して売り上げを出す営業職が、いきなり在宅勤務を取り入れようとしても不安や抵抗が拭えないことと思います。
営業職でも在宅勤務は可能です。
今回は、どのようにすれば営業職でも在宅勤務ができるようになるのか、さらには在宅勤務を取り入れる上でのメリットやデメリットについて解説します。
ぜひ導入の前に営業職の在宅勤務の仕組みをご理解いただき、自社での柔軟な働き方を実現してください。
「営業職は在宅勤務が難しい」時代から「営業職でも在宅勤務を選択できる」時代へ
現代ではニューノーマルな考え方の広まりもあり、営業職ながら在宅勤務を取り入れる企業風土を持った会社が増えています。
インターネットインフラの発達やダイバーシティの概念、働き方改革といった環境も手伝い、あらゆる職種がリモートやテレワークの形で持続することが推進されるようになりました。
営業職でも柔軟な働き方ができることが、スタンダードになっていると言えるでしょう。
営業職が在宅勤務になると売り上げはどうなる?
営業を在宅勤務にするにあたっての一番の心配は「売り上げが落ちるのではないか」です。
こと営業職においては、「在宅勤務にすると売り上げに差し障りがあるはずだ」とか、「そもそも営業の在宅勤務は不可能だ」といった考えを持ったマネジメント層も少なからずいます。
それまで在宅勤務を取り入れていなかった営業課が、いきなり在宅勤務をするように決められてしまっては業務のイメージすら思いつかないため、売り上げに結果が出ないのではないかと思うことは当然です。
しかし、オンラインで商談するためのツールやノウハウを取り入れることで、結果を残している企業、さらには在宅勤務導入以前よりも売り上げをアップしている企業は数多く存在します。
在宅勤務でも売り上げをアップさせるためには、オンライン商談のスキルを習得することが重要!
在宅勤務でありながら営業職として売り上げをアップさせる方法はあります。
それはニューノーマルな営業方法であるオンライン商談などを取り入れ、必要なスキルやノウハウを蓄積させることです。
うまくいかなければ、失注要因を分析して「なぜYesが得られなかったのか」「受注した時との差はなんだったか」などを探します。
このことでPDCAサイクルを回すことができ、自社独自の「今後に必要な改善点」がわかるようになります。
改善点がわかれば、後は実行するだけです。
以後でも解説するように、在宅勤務における営業活動は、対面に比べて数をこなすことができるという大きなメリットがあり、軌道に乗れば過去の失敗はいくらでも取り返せるようになります。
営業職が在宅勤務を取り入れるメリット・デメリットは?
営業職が在宅勤務を取り入れる上では、売り上げにつながるメリットがあります。
反面、乗り越えねばならない壁などデメリットも存在します。
メリットを享受して売り上げを伸ばし、デメリットを事前に回避するために、ぜひ参考にしてください。
営業職が在宅勤務を取り入れるメリット
以下からは、営業職が在宅勤務を取り入れる5つのメリットについて解説します。
売り上げにつながるメリットが多いことがご理解いただけると思いますので、ぜひご覧ください。
メリット1:優秀な人材が集まりやすくなる
営業職に在宅勤務を取り入れることで、人材確保の面でもメリットがあります。
現代、特に令和の時代になってからは、少子高齢化により人材の確保が難しくなっています。
若い世代は、ワーク・ライフ・バランスやダイバーシティ的思考を重視して働き方を選択する傾向があり、あらかじめ決まった形の働き方しかない職場には魅力を感じてもらえなくなります。
また、優秀な人材も選択肢を広く持って転職活動をします。
そうした層の転職活動におけるポイントとして、「柔軟な働き方ができること」が共通点として挙げられます。
幅広い働き方ができる職場が転職活動の際に選ばれる確率は高く、「在宅勤務が可能」という条件はほぼ必須であると言えます。
このように、優秀な人材を確保するためにも、在宅勤務が必要な時代です。
近年ではリモートワーク・テレワークといった在宅勤務のほか、ワーケーションやトラベルワーカーといった概念もスタンダードとなりつつあります。
今はある程度問題なく存続している企業でも、人材が確保できなければいずれ事業継続は困難になってしまいます。
新人教育もしやすい
また、Zoom商談などオンラインセールスを取り入れられれば、人材育成も効率化できます。
事前の参加者への承諾こそ丁寧に確認すべきですが、各商談はオンライン形式だと録画も簡単にできます。
録画した商談は、そのまま営業職用の教材として活用できます。
特に新人の頃は、ロールプレイングが大切です。
ロールプレイングを行うにも、そのためのトークスクリプトを打ち立てるにも、自社商材をセールスするためのノウハウがある程度備わっていなければ意味がありません。
オンラインセールスの録画資料は、その練習のための最適な教材となるポテンシャルを持っています。
始めからベストな教材を活用して教育された新人営業職であれば、優秀な人材に育ちやすくなります。
通常の商談の場合、同行できる社員はせいぜい1人程度、しかもその場限りであり、商談を繰り返し見返すことはできません。
つまり一度に営業教育ができる人数は非常に限られています。
しかも相手企業に赴いての商談であるため、録画や録音はマナー的にも好ましくありません。
オンラインを介したセールス活動を取り入れていれば、上記問題は解決できます。
このように、自社が在宅勤務ができる企業であるとアピールすることは、多様な世代や優秀な人材の確保につながるでしょう。
メリット2:社員が仕事に集中しやすくなる
在宅勤務は、基本的に1人で業務に当たることになり、周囲に社員はいません。
このため、在宅勤務なら仕事にだけ集中する環境が得られます。
集中するための環境は自分で自由に構築することもできます。
もちろん自宅が静かならば自宅で、そうでなければカフェやコワーキングスペースの利用も視野に入れられるでしょう。
誰にも邪魔されない環境であれば、仕事効率は上がるはずです。
各社員がそれぞれ在宅勤務で目の前の業務に集中できれば、自ずと生産性が向上するでしょう。
メリット3:移動時間がなくなり効率的に仕事をこなせる
対面の商談では事前の綿密なやり取りが必須で、多くの時間などコストを消費します。
ところがオンライン商談であれば、特に顧客側は場合によっては携帯ひとつあれば参加できるため、非常に参加ハードルやコストが低くなります。
さらに感染リスクを排除して商談ができるということは、心理的ハードルを下げることにも繋がります。
対面の場合、顧客にとっては自社に訪問されるため会議室の確保や決裁者の日程調整なども必要となります。
このため通常であれば忙しく捕まりづらい「キーパーソン」などにもアプローチしやすくなるでしょう。
オンライン商談を開催する側のセールスパーソンは、準備として日程調整・資料作成・共有程度をこなせばよくなります。
さらに次項でも解説していますが、移動コストや時間が丸々浮きます。
このように、本来対面の商談でかかっていたはずの時間を有効利用できるようになります。
空き時間により多くのセールス活動を同時進行する可能性が生まれるため、より効率的な営業環境を手に入れられるようになります。
メリット4:コスト削減に繋がる
在宅営業では基本的に、商談がZoomなどアプリを介したオンラインセールスの形で行われます。
つまり【メリット3】にもあったように、電車代などの移動費や、移動そのものの時間がすべて削減できます。
ビデオ通話アプリやソフトウェアの導入およびオンボーディングこそ必要になりますが、それらを乗り越えれば待っているのは間接コストの不要な世界です。
もし新しい活動形態が不安でも、「それまで掛かっていた交通費を導入コストに配分するだけ、以降は費用がかからない」と考えれば抵抗なく導入できるでしょう。
メリット5:定量的に営業を考えられる力が身に付く
在宅勤務では、多かれ少なかれ「その日に何をしたか」という日報を残すことになります。
日報では自分の成果が可視化され、ミーティングなどを交えれば同僚がどのように好成績を残しているかも共有されます。
次第に、部署の全体像が把握でき、物事を数値によって定量的に俯瞰できるようになります。
例えば「こんなことをしたから、成果が◯件上がった」といった、数字・施策・成果の関係性がつかめるようになり、効果測定などもできるようになります。
営業支援ツールなどを導入していれば、上記の関係性はより深く見えてくるでしょう。
デジタル化された営業活動を、いかに可視化して効率化を目指すかといった思考は、在宅勤務において大切です。
またリモートワークが主体になり、アウトバウンド型営業よりもインバウンド型に力を入れる企業も増えています。
すると、営業部門でも自然と「どうすれば問い合わせ数を増やせるのか」といった思考を持つようになります。
もともと営業のパイプライン化においては、フィールドセールスが現場で得た情報を持ち帰り、表出化されていない課題をマーケティングと共有し、広告施策をブラッシュアップすると言った考え方は必要でした。
「現場ではあんなことが起こっているから、こういった対策をすれば広告効果が上がるのでは」、といった視野は定量的な考え方によって身につきます。
ぜひ日々の成果を数値化するなどして、営業の成果を見やすくする工夫を取り入れてみましょう。
営業職が在宅勤務を取り入れるデメリット
在宅勤務には、ほぼ誰もがデメリットと感じてしまうことも存在します。
逆に言えば、これらデメリットを解消していけば営業職でも必ず成果につながるということです。
以下からは在宅勤務におけるデメリットについて解説します。
デメリット1:社員同士のコミュニケーションが希薄になる
在宅勤務においては、社内コミュニケーションの希薄化が懸念点です。
それまで対面で済ませられた口頭でのコミュニケーションは不可能になります。
営業課内はもちろん、他部署とのコミュニケーション方法は体制を整えなければ一層難しくなるでしょう。
例えば案件を進めるに当たって、個別の価格設定や機能面でのカスタマイズが必要になった場合など、法務関係や技術部門との連携が欠かせなくなります。
スピーディさや細かい対応が必要な場面において、うまく連携がとれなければ致命的です。
デメリット2:人材が余る可能性がある
在宅勤務では業務の進行管理が個人の裁量に任されがちになり、管理層の業務が空白=人材の余剰が生じてしまう可能性があります。
管理層が人材育成に回ることも考えられますが、人材育成も【メリット1】で挙げたような教材を使えばリモート状態でもロールプレイングができます。
個人でできるロールプレイングは、コストダウンの面で非常に理想的であると言えます。
もちろんロールプレイングのフィードバックを与える役割を管理層が担えれば、効果的なアドバイスにつながり適任であるといえます。
しかしながらロールプレイングが毎日毎時間、業務として発生するとは考えづらいです。
このため、余った人材をいかに有効活用できるかも在宅勤務導入の鍵となってきます。
デメリット3:家族の理解が必要となる
一人暮らしの場合、在宅勤務にはこの上ない好環境が揃っていると言えますが、家族と暮らしている場合少し勝手が異なります。
それは営業職の在宅勤務では、ビデオ通話などによる顧客とのオンラインセールスが日常で、静かな環境が保証されていなければ業務が持続しづらいためです。
このため最低限でも業務用の部屋を作り、どうしても静かにしてもらう時間を家族に作ってもらえるよう事前に頼んでおく必要があります。
近隣の工事などで、環境音が大きくなってしまう場合などは防音室の導入や、部屋の防音加工などで家族の理解が得られるかどうかも課題です。
営業職が在宅勤務を取り入れる際のポイント
本章では、実際に営業職として在宅勤務を取り入れる場合に必要な事項について解説します。
ポイント1:在宅勤務に必要な環境を整える
在宅勤務を始めるためには、必要な環境設定があります。
主に在宅勤務用のPCや通信環境の確保です。
営業課であれば、他にも以下のようなハードウェアが必要となるでしょう。
・自宅やワークスペースでの有線LAN(商談はWi-Fiよりも有線が望ましい)
・社用PC
・PBX(個人用スマートフォン内線化)
・業務に集中しやすく疲れにくいデスク、椅子
・高画質で自分を映せるウェブカメラ
・高音質なマイク、イヤホン(ヘッドホン)
・デュアルモニタ
パンデミック下における緊急対応は、事業継続計画(BCP対策)のためにもいずれ必要となるものです。
事業継続計画とは、大規模な災害などが起きても企業活動が続けられるよう、事前に緊急用のシステムを形成することです。
致命的な外的要因で企業活動が中断された場合、いかに速やかに復帰できるかが要となります。
すぐに企業活動が復旧できない場合、顧客の流出やシェア縮小、企業価値の低下を招くため、事業継続計画を立てておくことは企業にとって必須であると言えます。
ぜひ今後のためにも、在宅勤務に必要な環境を積極的に整えましょう。
ポイント2、勤怠管理や報告についてのルールを明確にする
在宅勤務を持続させるためには、勤怠管理や経費の生産方法、重要書類の取り扱い方法についてのルールを統一する必要もあります。
オンラインで上記手続きを完遂するには、管理するために必要なソフトウェア等も導入し、使い方を全社員に周知させなければなりません。
究極的なトラブルが起きてしまい、突然出社しなければならなくなってしまっては本末転倒です。
近年では以下のようなクラウド型サービスを取り入れる企業が増えています。
・勤怠管理、労務管理ツール
・タスク/プロジェクト管理ツール
・カレンダー登録機能などのあるスケジュール管理ツール
・経費精算ツール
・コスト管理ツール
・社内ナレッジ共有ファイルが格納されたドライブなど
・社内コミュニケーション用チャットツール
またコミュニケーション不足を解消するために、進行状況や案件情報の共有も必須です。
口頭やメモ書きで伝達ができない以上、ビジネスチャットツールなどを積極的に活用し、属人化を防ぐべきです。
ほかビデオ通話ツールを使えば、1on1ミーティングのような個人間のやり取りは非常にやりやすくなります。
上司やベテラン社員が気軽に相談に乗ってあげられる環境を構築すれば、従業員のスキルアップやストレス解消も実現できるでしょう。
いざとなった時、何が起きても良いように在宅勤務用の最低限必要なルールを決めておきましょう。
ポイント3:セキュリティを見直す
在宅勤務で営業プロセスを社内共有していくには、それまで社内イントラだけでやり取りしていた顧客データなど重要機密の持ち出しが必須となります。
社内イントラだけで機密情報のやり取りを行うには、リモートデスクトップサービスなどを使って、社内PCを遠隔操作する方法もあります。
リモート接続ならやり取りが社内のみで完結するためセキュリティ水準は高いと言えますが、現地PCに何かトラブルが起きてしまっては遠隔地からではどうすることもできないため、非効率的です。
このため、できる限り業務用以外の用途がなく、社内ネットワークにも接続できる在宅勤務用PCの調達ができれば望ましいです。
社内で利用されていた水準のセキュリティソフトなどを導入することで、セキュリティ対策を万全にしましょう。
ほか、社外秘資料の取り扱いなどについて、改めて社内教育やマニュアルの配布なども検討し、意識共有すべきです。
在宅勤務になってから売上を伸ばしている企業は多い!
今回ご紹介したように、営業職でも在宅勤務環境を取り入れ、結果を残すために様々な方法があります。
巷の企業は、ニューノーマルな時代において積極的に在宅勤務を取り入れ、営業部門でも順調に売り上げを伸ばしています。
実際に出社しないとできないようなことがあるならば、対策してリモート状態でもできるように準備すればいいだけです。
ぜひ、できることから取り組んでみて、在宅での営業活動を実現してください。