テレアポは電話で営業をかける営業活動であり、対面営業とはまた違う技術が必要になります。
いきなりテレアポで結果を出せといわれても、まずできるものではありません。
テレアポで結果を出している人には共通の特徴があります。
テレアポ初心者は、最初はその特徴を真似することで、次第に自分のトークスクリプトに落とし込めるようになるでしょう。
上手い人のやり方を学んでいるうちに、「経験者でも、意外とこんな考え方で業務にあたっているから結果が出せるんだ」といったことがわかることがあります。
そこで今回は、「テレアポが上手い人は一体どんなことをしているのか」という点やテレアポのスキルを身につけるための練習方法について解説します。
熟練者のスキルを身につけるために土台を準備しよう
テレアポが上手い人のスキルを身につけるにも、まずは自分の土台を形成する準備が必要です。
テレアポはひとつのトークスクリプトを土台に発展させましょう。
トークスクリプトの基礎については、過去のトークスクリプト編の記事もご覧ください。
テレアポが上手い人の特徴6選
テレアポが上手な人にはいくつかわかりやすい特徴があります。
以下では、上手い人の特徴6選をご紹介します。
ぜひ自分にできそうなことから真似して取り入れてみてください。
特徴1:自分、自社企業、相手企業の分析をする
テレアポが上手い人は、事前準備として自分と自社・自社商材、これから自分が電話を掛ける企業・業界についての研究・分析を欠かしません。
自分の分析とは、トークスクリプトや台本の見直しです。
この後、効果的なテレアポの練習方法についても紹介しますが、常にトークスクリプトを改善することによってスキルアップが見込めます。
具体的には、その日のテレアポであった「良かったこと」「悪かったこと」についてまとめてみて、日々トークスクリプト内に反映させていくといった方法が挙げられます。
自社や自社商材の分析とは、自分が取り扱う商品・サービスについて知識を深め、企業理念を再度自分の中に落とし込むことです。
商品知識を備えることで、相手企業の課題が見つかった時に自社商品といかに噛み合うのか、つまりニーズを喚起することができるようになります。
鍛える方法は、例えばフィールドセールスにいる自分と同じ商材を取り扱っている担当者にヒアリングしてみることなどが挙げられます。
副産物として、顧客に刺さるセリフなんかも教えてもらえるかもしれません。
相手企業の分析とはそのままの意味です。
情報化社会である現代では、「これから自分がセールスする相手の情報も入手せずに会話に誘う」といった行為は失礼に捉えられる場合さえあります。
相手が個人でなく企業である場合、HPやSNSを持っていないということはほぼ考えられないため、会社名や業種で検索してみましょう。
その際に、公式HPから知らない単語を見つけ出し、さらに調べてみることで業界についても知識を深められます。
こういった調査で得られる基礎知識は会話をリードする上での根拠となり、オペレータに自信を与えてくれます。
特徴2:電話をかける数が多い
テレアポからアポイントやオンライン面談が獲得できる人は、単純に電話を掛ける数が多いことも特徴です。
そのためテレアポの専門業者では、いくつアポが取れたか、ではなく「何件電話できたか」をKPIとして、課員のモチベーション維持に利用することもあるほどです。
もちろん成功報酬で業務する熟練のオペレータはアポ数が数値目標となりますが、その場合も「今日は何件かけられるから、何件のアポが見込めるだろう」といった予測を立てて作業に当たります。
このように、テレアポを始めてまもないうちは特に「電話をかけた数」にこだわりましょう。
経験を積めば積むほど「この相手とはこれ以上話しても見込みがないな」といった空気が判別できるようになり、1件1件にかける時間を節約しつつ温度感の高い案件に時間をかけられ、結果に繋がります。
特徴3:相手の懐に入り、相手に合わせられる会話スキルを持っている
テレアポが上手い人は、簡潔な言い回しで相手のニーズを引き出します。
相手のニーズを引き出すにはまず相手に胸襟を開かせ、懐に入りやすくする作業を行うことが必要です。
具体的には、相手との共通点をいち早く提示することが挙げられます。
共感につながる単語を効果的に使うことで、心理的安全の基地(ラポール)を形成できます。
【1】でも解説した企業研究により「こんな課題があるんじゃないか」「こんなことで困ってないか」といった雰囲気を電話中に読み取れるようになります。
そして、必要な言葉を落ち着いたトーンで聞き取りやすく伝えることで相手の興味を引き出します。
すると次第に相手の会話量が増えてくることでしょう。
会話量が増えたら、質問にも即座に切り替えせるようになっておきたいところです。
質問に対して切り替えす際に注意したいのは、言い間違いやわかりづらい説明をしないことです。
友達のように顧客と話せる人もいますが、いきなりはそうなれませんし、こちらの出方を図っている可能性もあるためリスクがあります。
無理に熟練者を目指そうとせず、できることから始めましょう。
会話スキルについては後の章にある練習方法、さらにトークスクリプトの基礎やセールストークの記事もご覧ください。
特徴4:断られて当たり前だと思っている
本項はテレアポにおける「心構え」でもあります。
テレアポでは「断られて当然」というメンタルが必須です。
ある統計では、テレアポ初心者が成功する確率は1%、専任者でも10%いかなくて普通という結果が出ています。
それもそのはずで、テレアポする側はそれが業務ですが、電話を受ける相手は「他の業務がある」人であり、テレアポという急な電話によってそれが邪魔された状態です。
だから早く切りたいのが当たり前。
「テレアポを受けるために存在する部署」なんてどんな企業にも存在しませんよね。
それほど、テレアポはもともと成功率の低い営業手段なのです。
そのため、断られた一件一件に一喜一憂していては体力も神経もすり減ってしまいます。
これを理解しているからこそ、テレアポが上手い人は「断られて当たり前」「受話器を冷酷に置かれても当然」という構えで業務にあたっているのです。
断られそうな相手と遭遇した場合は、一旦「いかにして会話を終わらせるか」について集中することも時間効率のために重要です。
変わった事例として、「営業の電話ですよね?」と聞かれた場合に「おっしゃるとおりです。貴社がこういった悩みを抱えているのではないかと思い……」と答えたら相手が逆に興味を持ってくれ、アポまで行けてしまったという例もあるそうです。
通常、テレアポは営業電話だと思われたら終わりですが、この事例ではあえて認めたことで相手の「共感」を引き出せたと言えます。
このように相手に合わせてベストな方法を模索できるのも、テレアポならではの楽しみ方といえるかも。
経験を重ねるうち、「相手の企業に刺さりそうな話題」や「切り札となる数値や事例」を端的に、まるで機械になったかのように会話内で披露できるようになるでしょう。
もちろん必ず「相手企業に刺さりそうな話題」や「切り札となる数値や事例」を披露す必要はありませんが、最低限自分なりのベストなテレアポの方法を見つけるべく、日々トークスクリプトの更新などを心がけてみてください。
したがって、あなたがもしマネージャーの立場ならば、一つの案件について「意地でも粘ってアポに繋げろ」と課員に命じるのはナンセンスです。
課員の負担にならない程度の「量」をKPIに設定し、結果で責めたりしないように目標設定を行いましょう。
一度断られた相手は「再訪リスト」などに記載しておくことで、後で有効活用できる場合もあります。
特徴5:常にトークスクリプトを改善し続けている
トークスクリプトは業種や相手の属性によってベストな内容が異なるため、色々なパターンが作られることになりますが、その内容にも常にアップデートを重ねて改善していくことが必要です。
たとえ1つのトークスクリプトを使いまわしていて結果が出なくても、確実に経験は溜まっていきます。
つまり、経験を積んだ状態のあなたにとって、やりやすいテレアポの方法とは刻々と変化していくのです。
改善のために「うまく出来たことリスト」なんかを作ってみるのもおすすめです。
記載する内容は「当日の業務の中で何百件電話できた」「ある業種のリストが全部消化できた」「何十分ずっと連続でテレアポし続けられ、集中力が養えた(基本的にデスクワークは30分に1回は立って運動することが必要)」などが挙げられます。
できるだけ毎日記録し続けることで、自分の成長度合いが見て取れ、モチベーションに繋がります。
トークスクリプトの改善については、基礎情報の記事もご覧ください。
特徴6:断られる条件をつくらない・次につなげる
テレアポのテクニックとして、「Yes・Noで答えられてしまう質問はしない」というものがあります。
Noとは、「テレアポおよびその会話から得られる情報を欲していない」状態です。
つまり断る理由にそのまま直結します。
そのため「今お忙しいでしょうか?」も基本はNGです。
「お忙しい中ありがとうございます」程度に留めておきましょう。
また商品・サービスの内容を聞き、見事その企業の課題にフィットすると理解された場合も、予算・承認・将来的な不安といったリスクを理由に断られることも多いです。
この場合、一歩も引き下がらないという姿勢を示すのではなく「確かに、おっしゃるとおりです」と一旦受け止め、「ただ、機能面ではご納得していただけたということで良いですよね?」とYesセット話法を利用すると良いでしょう。
最終的に「では、ネックであるコスト面についての不安が解消されたら、一度お話を聞いていただくことは可能でしょうか?」とアポについての質問に繋げることが出来ます。
あるいは、相手の拒否理由に「そうですよね」と共感することで次の行動が取りやすくなります。
例えば「資料だけでもお受け取りいただけないでしょうか」と聞き、電話のあとに資料を送ります。
すると、「何月に資料を送った者ですが、その後お変わりないでしょうか?」とアプローチする理由がこちらに生まれます。
この積み重ねで、最終的にアポに繋げれば良いのです。
ハードルを下げた提案に対してだと「資料を送られるぐらいなら……」とOKしてくれる方は少なくありません。
郵送でなくメールならさらにハードルは下がります。
そして、アポを取る際にも「No」を言わせる可能性のある提案の仕方は避けましょう。
「何日は空いていますか?」ではなく、「何日と何日ならどちらがご都合良いでしょうか?」という聞き方をすれば、相手の頭から「空いていない=No」は薄れます。
効果的なテレアポの練習方法
これまでテレアポが得意な方の特徴を紹介しましたが、本章では上手なテレアポの方法を身につけるにはどう練習すべきかを解説します。
練習方法は、基本的に上手い人を参考に練習あるのみです。
一人から数人で練習する方法がありますが、まずは自分にできるところから、次第に合ったやり方を模索し、実践してみてください。
「話し方」の良い練習方法については、セールストークの記事もご覧ください。
その1:上手い人を真似する
社内に、既にテレアポ経験者がいる場合、普段その人がしているやり方を真似させてもらうこともスキルアップに効果的です。
「テレアポが上手な人は一体どんな声の大きさ・トーンで話しているのか?」「どのように切り返しをしているのか?」」という疑問は実際に観てみないと答えが理解できないこともあります。
「どうしてそうしているのか」もその場で聞けるため、上手い人の様子を見学することは有意義な実学の場ともなるでしょう。
中でも、インサイドセールスやフィールドセールス部署の人々はテレアポ経験者が多いです。
もしテレアポ初心者がいる場合、積極的に研修のような形で経験者の教えをシェアしてもらうよう依頼してみてはいかがでしょうか。
オペレータたちのトークスクリプトをアップデートする機会ともなるでしょう。
その2:ボイスレコーダーで自分のテレアポの音声を聞き改善する
一人でのテレアポ練習方法として便利なのが、ボイスレコーダーを使う方法です。
最近のスマホならほぼプリインストールされています。
トークスクリプトを使って、普段のやり方でテレアポをして録音し、終わってから聞き返してみると、声の大きさやトーンの変化、間のとり方、無駄な長文で話していないか、等について非常に客観的に理解できます。
さらに進んだ効果的な方法として、上手い人のやり方を録音させてもらい、比較・改善するというやり方があります。
きちんと真似できているかどうか、納得行くまで練習できます。
繰り返し実践することで、トークスクリプトを改善するだけでなく内容をほぼ暗記できるようになるでしょう。
頭を働かせずとも言葉が出てくる状態まで自分を持っていければ、圧倒的な自信に繋がります。
その3:複数人とテレアポのロールプレイングを行う
テレアポ上達のために、コールセンターの部署やインサイドセールス、フィールドセールスの人々を交えたロールプレイングを開催することも効果的です。
対面でもロールプレイングは可能ですが、できれば内線などを使って本番に近い環境で実践しましょう。
自分や相手の声がどのように聞こえるのかについて、より踏み込んだ評価が得られるためです。
ロールプレイングの肝は、「自分のテレアポ内容がどうだったか」について参加者からフィードバックがもらえること。
自分では気づけなかった改善案を得ることができます。
そのためできるだけ経験豊富な人に参加してもらいましょう。
上手い人のコツを知り、できることから地道に身につけよう!
テレアポが上手い人の特徴や練習方法をご紹介してきました。
事前準備やマインドセットをきちんと進め、数をこなすことで技術の向上が期待できます。
いきなり上手い人にはなれません。
すべてのスキルを身につけることは一朝一夕でできるものではありませんが、同じやり方を選択することで確実に近づけるようになります。
今回は一人でもできる練習方法も紹介しているので、ぜひできることから実践し、日々のテレアポ業務に活かしてみてください。